夏にピークをむかえる「プール熱」は大人にもうつるので注意が必要!!

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子どものプール熱に注意!

 毎年6月、7月に流行のピークを迎える夏の感染症として知られる咽頭結膜熱、(一般的にはプール熱と呼ばれる)がじわじわと感染数を増やしている。おもに乳幼児を中心に発症することから注意が必要だが、第22週(2015年5月25日~5月31日、国立感染症研究所IDWR週報)の統計によると新潟県、北海道、島根県、広島県、鹿児島県、三重県など患者数の増加が目立つとされる。
 
 アデノウイルスというウイルスを原因とするプール熱は、プールで遊んでいる子供の感染が多いことからこのように呼ばれているのだが、実際の感染場所はプールにとどまらない。
 
 国立感染症研究所(感染研)などによると、基本的にはせきやくしゃみといった飛沫感染や、手指を介した接触感染が中心なのだが、その感染力は強く、タオルを共用したり、患者が触れたエレベーターのボタンや階段の手すりを触ったりするだけで感染することもある。
 
 通常、潜伏期間は5~7日程度で、発熱、咽頭炎(咽頭発赤、咽頭痛)、結膜炎(結膜充血、眼痛、流涙、眼脂)の3つが主な症状となる。このほか食欲不振や全身の倦怠感などを訴えることもあり、こうした症状は3~5日ほど続くという。特別な治療法やワクチンはなく、多くの患者は自然に治っていくが、まれに重症化して脳炎や肺炎などを起こす恐れもある。発症したら、しっかりと様子を観察することが重要だ。
 
 この感染症は、困ったことに、症状がなくなっても1カ月ほど便や尿の中にウイルスが排泄されてしまう。そのため集団生活をしている場所では感染しやすく、毎年、各地で幼稚園や保育園などの施設では集団感染が発生している。
 
 では、発症したらどうしたらいいだろうか。まずはかかりつけの小児科を受診すること。そして脱水症状にならないよう、こまめに水分補給を行うことが大切だ。学校保健法では第二種伝染病に位置づけられているため、主な症状が消えてから2日経過するまでは登校・登園停止となっている。
 

こまめな手洗いうがいが最良の予防方法

 うつしたり、うつされたりしないための予防はどうすればいいのか。どんな感染症を防ぐためにも、まず大事なのは流水とせっけんによる手洗い、うがいをしっかり行うこと。さらに、症状が消えても便や尿にはウイルスが残っているので、トイレの後やオムツの取り換えの後には特にしっかりと手を洗う必要がある。

 タオルの貸し借りもしないほうがいい。プール熱の名の通り、プールでの感染を避けるためには、プールに入る前後にしっかりとシャワーを浴び、症状があるときはプールに入らないよう心がけよう。
 
 このプール熱、感染者のほとんど、9割近くが子どもだが、大人が罹患しなわけではない、プール熱に感染した子どもがいる家庭では、生活を共にする大人が二次感染してしまう。

 もし子どもがプール熱に感染したら、石鹸やアルコールによる手洗いの徹底。タオルやハンカチなどを共用しない。感染している子どもに直接触れなければならない時は眼鏡、マスクなどをつける、などの生活の工夫が必要だ。

 大人でも感染してしまえば同様の症状が出る可能性があるため、十分な水分補給や栄養のある食事と休息が必要だ。
(文=編集部)

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