高齢者の腰痛に社会的格差との深い関連指摘 慢性腰痛の原因となるストレス

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腰痛と所得や教育レベルと関係する!?

「頭痛がする」「足腰が重い」「起き上がるのが辛い」「立ち上がる時に腰や背中が痛む」。日本人の腰痛の生涯有病率はなんと83%! 体幹筋機能の低下は腰痛の発症やQOLの低下につながる。特に高齢になればなるほど、腰痛は深刻化する。

 東北大学大学院国際歯科保健学の杉山賢明氏らの研究グループは、「日本人の高齢者の腰痛の有訴率は、社会経済的な格差がある可能性がある。教育レベルが低く、所得が低いほど腰痛の有訴率が高い」とする研究成果を「International Journal for Equity in Health」1月21日号に発表した。

 腰痛は、筋力の低下などの身体的要因に加え、社会的な役割の衰退などの心理的要因が関連するが、教育歴や所得による有訴率の差は不明だった。

 研究グループは、2013年に日本老年学的評価研究(JAGES)のアンケートに回答した65歳以上の自立した生活を送っている高齢者2万6,037人を対象に社会経済的状況と腰痛の有訴率との関連を調べた。

 その結果、対象者の63.4%が過去1年間に腰痛を有していたことが判明。対象者を教育歴(9年以下、10~12年、13年以上)によって3群に分けて比較したところ、最も短い群の腰痛の有訴率は、教育歴が最も長い群よりも1.07倍高かった。

 最も長く従事した職業(「専門職」「事務職」「肉体労働職」「就労経験なし」)によって4群に分けて比較すると、肉体労働に就いていた群の有訴率は専門職に就いていた群よりも1.06倍高かった。

 また、対象者を所得によって4群に分けて比較したところ、最も低い群の腰痛の有訴率は所得が最も高い群よりも1.16倍高かった。

 さらに、現在の資産によって5群に分けて比較しても、最も低い群の有訴率は資産が最も高い群よりも1.18倍高かった。

 研究グループは「高齢者の腰痛の有訴率に社会経済的な格差があるため、社会経済的な格差の関連因子を考慮した抜本対策が必要だ」と説明している。

 つまり、高齢者の腰痛は、教育歴、職歴、所得、資産などの格差に深い関連があると指摘した。

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