年齢の割に眉間のシワが深い人は心臓病の死亡リスクが10倍も高い?
眉間のシワは心臓の状態が悪い徴候――。そんな可能性を示したフランスの研究結果が「欧州心臓病学会」(ESC 2018、8月25~29日、ミュンヘン)で発表された。
年齢の割に眉間のシワが深い人は心臓病が原因で死亡するリスクが高く、さまざまなリスク因子で調整後でも、眉間にシワのない人と比べて最も深いシワがある人では、心臓病で死亡するリスクが10倍近いことが分かったという。
この研究は、トゥールーズ大学病院センター(フランス)労働衛生学准教授のYolande Esquirol氏らが実施したもの。
同氏らは今回、心臓の健康状態のマーカー候補として額のシワについて検討した。額のシワに着目した理由は「極めて単純で、相手の顔を見るだけで危険を察知できるから」だとしている。
眉間のシワの深さは「動脈硬化」が原因?
Esquirol氏らは、就労している約3200人の健康な成人を対象に額のシワを評価し、その後20年間にわたって追跡した。
研究開始時の年齢は32歳、42歳、52歳、62歳のいずれか。それぞれのシワの程度は「シワ・スコア」で「0点(シワは全くない)~3点(深いシワがたくさんある)」に分類した。
年齢や性別・血圧・心拍数・糖尿病の有無などのさまざまな因子で調整して解析した結果、シワ・スコアが2点および3点だった人では、0点だった人と比べて、心血管疾患で死亡するリスクは9.6倍だった。
また、シワ・スコアが1点以上だった人では、シワがなかった人と比べて、心臓の問題が原因で死亡する確率が5倍以上であることも分かった。
以上の結果から、Esquirol氏は「シワの深さを示すスコアが高いほど心血管疾患で死亡するリスクは上昇することが分かった」と結論づけている。
こうした結果が得られた原因は不明だが、同氏は、動脈硬化に起因しているのではとの見方を示す。
「シワの形成と動脈硬化にはいずれもコラーゲンの変化や酸化ストレスが関与している。また、額の血管は極めて細いため、プラークの蓄積による影響を受けやすい可能性がある。このことから、シワが血管年齢の上昇や血管の硬化の初期徴候として現れると考えられる」と同氏は説明している。