既婚者は「心血管疾患」の発症リスク&死亡リスクが減る
結婚は健康に良い影響を与えることがさまざまな研究で明らかにされているが、心筋梗塞や脳卒中といった「心血管疾患」を予防する効果を示唆する研究結果が『Heart』(6月19日オンライン版)に発表された。
今回の論文では、欧米やアジア、中東などさまざまな国や地域の男女を対象とした34件の研究をメタ解析した結果、「結婚している人」と比べて「結婚歴がない人」や「離婚または死別により独身となった人」では、心血管疾患を発症するリスクが約1.4倍で、心筋梗塞や脳卒中による死亡リスクも約1.4~1.5倍であることが分かったという。
これまでも当サイトでは、以下のような記事を配信してきた。
●既婚者より「未婚者」「死別者」は認知症のリスクが高く、「離婚者」は脳卒中・肝硬変リスクが高い
●身寄りがいない独身男性が「脳卒中」になると……「介護施設」に入る確率は約3倍!
上記の研究に加え、今回の研究で「結婚は健康に良い影響を与える」ことの裏付けが、またひとつ増えたことになるだろう。
死亡リスクが冠動脈疾患で43%、脳卒中で55%
この研究は、英キール大学プライマリケア・健康科学研究所のMamas Mamas氏らが実施したものだ。
同氏らは今回、1963~2015年に発表された「婚姻状況と心血管疾患リスクとの関連」を評価した34件の研究を抽出し、これらの研究に参加した、アジアや欧州、中東、北米、スカンジナビアにおける42~77歳の男女計200万人超のデータを用いてメタ解析を実施した。
その結果、「結婚している人」と比べ、「結婚歴がない人」や「離婚または死別により独身となった人」では心血管疾患リスクは42%、冠動脈疾患リスクは16%高く、冠動脈疾患による死亡リスクは43%、脳卒中による死亡リスクは55%高いことが明らかになった。
また、「男女ともに離婚した人」は冠動脈疾患リスクが35%高く、「配偶者と死別した人」は脳卒中リスクが16%高いことも分かった。
さらに、脳卒中後に死亡するリスクに「結婚している人」と「独身の人」で差は見られなかったが、心筋梗塞後に死亡するリスクは、「結婚している人」に比べて「独身の人」で42%高かった。