ブラジルで淡水魚ティラピアの皮を使った「火傷治療」に大成功!(depositphotos.com)
サンバの王国ブラジルの大病院。火傷を負った患者たちが半魚人のような異様な姿でベッドに横たわっている。その表情に苦痛はない――。
ブラジルのセアラ大学のOdorico de Morais教授は、Dr. José Frotaセンターと協力し、 2014年から淡水魚のティラピア(イズミダイ)の皮を使った火傷治療の臨床試験に取り組み、II度およびIII度熱傷の治療に大きな成果を挙げている(Gigazine:2017年5月 29日)
たとえば、治療を受けたウェイトレスのマリア・デ・シルヴァさんは、勤務先でガスレンジの爆発に巻き込まれ、腕にII度の熱傷を負った。火傷した患部の上にティラピアの皮を貼り付ける治療を受けたところ、肌はかなり修復された。
また、電気関係のスーパーバイザーを務めているJosue Bezerra Jr.さんは、仕事中に腕や足に大火傷を負い、ティラピアの皮を患部に貼る治療を受けた。最初の夜はまったく効果を感じなかったが、やがてじわじわと肌に馴染み、治療は成功した。
重度の火傷治療は、豚の皮膚や人工皮膚を利用する植皮術で皮膚を移植するのが一般的だ。だが、ブラジルは、豚の皮膚も人工皮膚も不足している。ブラジル国内3ヶ所の皮膚バンクは、国内需要のわずか1%しか賄っていない。ブラジルの火傷患者は、ガーゼとスルファジアジン銀クリームを処方されるほかない。
クリームに含まれる銀は感染予防に有効だが、患部を創傷清拭し、治癒を早める効果はない。ガーゼは毎日交換しなければならないし、傷に巻かれたガーゼを剥がし、傷口を洗浄する処置は患者に大きな苦痛を与える。