ドッグブーツは肉球を救う(写真はdocdog HPより)
NASA観測史上、全世界的に最も暑い夏になるといわれた今年、残暑も厳しいとか。ここに「72%の犬が肉球に火傷をする恐れがある」と指摘する調査がある。夏のアスファルトの温度は60℃を超え、愛犬の肉球ケアが必要だと警告しているのだ。
すでに普及傾向にある犬用の洋服に関しては、単純にオシャレとして楽しんでいるだけではなく、犬にとってもメリットがあることが理解されてきた。
小型犬や毛の短い犬種などの防寒、道路の照り返しからの肌の保護、雨の日の雨よけ&泥をよけ、さらには毛抜けの防止にもなる。盲導犬や介助犬などは、店舗への立ち入りや公共の乗り物に乗る場合などにも衛生面で気兼ねをしないですむ。もちろん、犬の種類によっては必要ない場合や個体によってはストレスになり、デメリットがないわけではない。
しかし、今度はブーツ? 服を着ている愛犬の姿を目にすることには慣れてきたが、ドッグブーツなんて本当に必要なのか?
飼い主が気づかない肉球の火傷も
今年7月、犬の社会課題を獣医学研究者とともに考えるブランド『docdog』が犬の飼い主200人(18〜78歳の男女)を対象にしたインターネット調査では、実に72%の飼い主が犬の肉球に火傷のリスクがある時間帯(10時から19時までの間)に犬の散歩をしたことがあると回答、さらに10人に1人の飼い主が愛犬の肉球に火傷をした経験があると答えている。
獣医の御神村友樹氏は「元来、犬は土や芝生といった自らが歩きやすい環境を選択しながら、生活していました。しかし現代において、愛犬が散歩時に歩く大半は歩道(アスファルト)です。特に夏場のアスファルトは、土や芝生と比べて日光による熱を蓄熱しやすく、犬の肉球にとっては負担のある環境です。軽度の火傷では、犬が自ら声を上げることは少ないので、飼い主が愛犬の肉球の火傷に気づいていないケースがあります」と言う。
なるほど、確かに熱いアスファルトの上を素足で歩いたら、人間なら即火傷することはわかりきっていたことだが、犬なら大丈夫なんじゃないかと思い込んでいたようだ。
さらに詳しく調べていくと、熱くなったアスファルトはもちろんのこと、雪の上の散歩などで犬も人間と同じようにしもやけにもなることが分かった。しかも、雪に埋もれているガラス片などの危険物で、ケガをしてしまう犬も多い。除草剤や凍結防止剤などの有害物質の危険性もある。
既に肉球をいためてしまっている場合には、傷口の保護や舐め防止にもある。散歩以外でも、老齢となった愛犬などが歩きやすいように、ゴムでできた靴を履かせることもあるようだ。
日本のドッグブーツの使用率は5.5%にとどまっているが、アメリカでは飼育頭数約8000万(2015年)に対して1年間で約2000万足のドックブーツが売れている(docdog調べ)というから、その普及率には大きな違いがある。
しかし、靴を履くのは良いことばかりではない。