細胞キャラが企業PRへの出張も…
なかでもコミックならではの擬人化ぶり(その妙)が際立っているのが、小学校低学年程度の少女と思しき外見で描かれる「血小板」だろう。この萌えキャラが損傷部分を塞ぐべく、チョコマカと健気に動き回る姿が、アニメおたく層ならずとも支持を集めるのは必至だろう。愛くるしい声を演じるのは、長縄まりあ(『小林さんのちのメイドラゴン』のカンナカムイなど)である。
あるいは櫻井孝宏(『おそ松さん』の松野おそ松など)が声を演じるメガネ男子の司令官「ヘルパーT細胞」に至っては、おやつのクッキーの粉が頬っぺたについたまま細胞たちへ司令を下すというお茶目な一面も。本作をして「誰もが共感できる、究極の体内細胞擬人化ストーリー」と称される所以がおわかりいただけるだろう。
脚本も『デジモンアドベンチャーtri.』(シリーズ構成)などで知られる柿原優子、コンテ・演出はテレビアニメ版『ジョジョの奇妙な冒険』(シリーズディレクター)などの作品を持つ鈴木健一監督が務めるほか、スタッフ陣の豪華さも枚挙にいとまがない。
とにかく本作に賭ける版元・講談社の「半端ない」力の入れようは、アニメ版の公式サイトを覗けば一目瞭然。トートバッグは言うに及ばず、クッションカバーからレザーバッジに至るまで関連GOODSの多彩さは、それこそ細胞並みの豊かさを感じさせる。
なかでもPR戦略の本気度を象徴しているのが「細胞たちがあなたのために、はたらきます。」という謳い文句を掲げ、企業・団体・法人向けに現在公募中である『リアルはたらくプロジェクト』の試みだろう。
実際、OAを目前に「日本赤十字×テレビアニメ」のコラボ企画で、献血提供者特典としてアニメ版『はたらく細胞』第1話の先行視聴キャンペーンも実施された。
依頼主募集の参考に公式サイトが掲げる各キャラの「お仕事例」は、たとえばが下記のようなものだ。
●赤血球:宅配関連のキャンペーンキャラクターになってほしい。
●白血球(好中球):風邪予防、熱中症対策など、健康に関するキャンペーンPRをしてほしい。
●マクロファージ:美容や健康に役立つ料理の紹介(プロモーション)をしてほしい!
どうだろう、内容を知れば知るほど俄然見たくなる、新定番アニメではないだろうか。この夏、新幹線で隣り合わせた子どもの兄弟が突如「キラーT細胞!」「別名・細胞傷害性T細胞!」とか言い出しても決して驚くなかれ。細胞が今夏のトレンドなのだから!
(文=編集部)