インタビュー「体調不良の原因は『首こり病』のせい」前編:東京脳神経センター・松井孝嘉理事長

うつっぽい、疲れやすいなどの不定愁訴はスマホによる「首こり病」が原因!?

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不定愁訴の原因が「首こり病」かを問診票でチェック

 では自分の悩んでいる不定愁訴が、首こりによるものか、どうしたらわかるのだろう? まずは問診票を見てほしい。首こり病の可能性がある人は、ほとんど全員、問診票の21番「疲れやすい(全身倦怠)」「全身がだるい」にチェックがつくのだという。

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★まずは問診表でチェック!

 松井理事長は問診票の結果を以下のように説明する――。

 首がこっている人は、ほとんどの場合、全身の疲労を訴える。副交感神経の働きが鈍くなると、原因不明の疲れが出てくる。この両者の関係はちょうど昔の井戸の水をくむツルベと同じです。副交感神経が正常で高い位置にあれば疲労は全く出てこないが、副交感神経のレベルが下がると原因不明の疲労が出てくることが多くの臨床結果からわかってきた。

 また20番「すぐ横になりたくなる」「昼間から横になっている」にチェックがつく場合、首の筋肉が頭を支えられなくなっているのかもしれない。

 16、17番の「目が乾燥する」「口が渇く」という項目を不思議に思う人がいるかもしれないが、涙やだ液は副交感神経が働くことで分泌されるので、ドライアイやマウスは首こり病が原因となっている可能性がある。これらの症状が見られる患者さんの多くが首こりの治療で治っている。

 18番の「微熱が出る」については、首こりの患者さんは原因不明の微熱の出ることが多い。何日も検査入院して結局何も異常が見られず原因がわからなかったという患者さんが最後に東京脳神経センターを受診し、その結果首の筋肉に異常が見つかり、治療を行い正常になると微熱も消えることがほとんどだ。

更年期障害のおよそ7割は「首こり病」が原因かも

 首こり病の患者さんによく見られる、外見的な特徴はあるのだろうか?

 「瞳孔の開いている人が多い。診察時に、瞳に光を当てても反応がない。副交感神経の働きにより瞳孔は閉じるので、副交感神経の働きが悪くなっている証左だと考えられる。そして、笑顔が作り笑いになっている人が多いという特徴もある。治療を行うと、ほとんどの患者さんに自然な笑顔が戻ってくる」
 
 また、40代後半から50代の女性が悩む更年期障害も、実はその70%以上が首こりが原因となっていることが多いという。

 「女性ホルモンのゆらぎが原因となっている更年期障害は3割程度。残りのおよそ7割は、首こり病が原因と考えられる。婦人科でホルモン補充療法などを受けてみても治療が奏功しない場合は、首こりが原因ではないか疑ってみてほしい。更年期障害を訴えて受診する当センターを受診する女性の多くが、首こりの治療を行うことで症状が軽快・消失している」

 後編では、スマホの普及とともに激増している「うつ病」と首こりの関係、世界でも例をみない、副交感神経の働きを回復するための治療法などについて紹介する。
(取材/文=渡邉由希・医療ライター)


松井孝嘉(まつい・たかよし)
東京大学医学部卒業。1971年、東京大学文部教官となり頭頸部外傷・デッドボールの研究を行う。巨人軍の協力を得て頭部デッドボールの実験を繰り返し、野球用耳付きヘルメットを開発・実用化。これによりデッドボールによる死者を皆無にする。
その後、米国のアルバートアインシュタイン医科大学、モンテフィオーレ病院にて脳腫瘍・脳血管障害を研究。ジョージタウン大学にて世界初の全身用CTスキャナの開発に携わり、画像診断の先駆者として日本への導入・普及に尽力し脳卒中死者の激減に貢献した第一人者。
同時に世界初の本格的脳画像診断アトラスを制作・著作し世界でベストセラーとなり、医学書初の国際出版文化大賞、外務大臣賞を受賞。
78年「首こり病(頚筋症候群)」を発見し、2005年に診断法と治療法を確立。これが世界で初めて自律神経失調症の治療法となり、数々の不定愁訴の治療が可能になった。

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