疲れ知らずの子供に大人は敵わない(depositphotos.com)
都会では体を動かして遊ぶ機会が減ったとはいえ、やはり子どもの体力は無尽蔵だ。特に小学生の男子などは、ちょっと遊び相手をしただけで大人の方がヘトヘトになってしまう……。
子を育てる親であれば「なぜ、あんなに長時間走り回っているのに疲れないんだろう?」とあきれたことは一度や二度ではないだろう。
じつは最近、「子どものパワー(回復力)は、大人の予想を超えるものだった」ことが生理学的に解明された。
『Frontiers in Physiology』(4月24日オンライン版)に掲載された、この研究結果によると、子どもの「疲労回復力」は、運動不足気味のお父さんの上を行くどころか、成人のスーパーアスリートと同等だというのだ。
男児と成人の体内パフォーマンスを比較
この結果を発表したのは、仏クレモン-オーヴェルニュ大学のSébastien Ratel氏らの研究グループ。Ratel氏らは以前より、運動の習慣のない大人に比べて子どもの「疲労度」は著しく低いため、疲労から回復する能力は成人のアスリートと同等である可能性を示唆してきた。
そこで今回、「訓練されていない」8〜12歳の男児12人、19~23歳の一般男性12人と、19~27歳の男性アスリート12人を対象に、各グループの運動能力を比較する実験を行った。
「訓練されていない」とは、スキーやスケートボード、登山など、娯楽としての運動をする時間が週4時間以下である者と定義。一方、アスリートグループは、自転車やトライアスロンなどにおけるナショナルクラスの選手であり、週6回以上の長距離トレーニングを少なくとも2年間続けていた。
研究グループはエアロバイクを使い、2日以上の間隔をおいて、すべての対象者に有酸素運動と無酸素運動のテストを実施。それぞれ運動後に、運動中に感じた苦しさなどの運動強度を10段階で評価してもらった。さらに心拍数、血中酸素濃度、乳酸除去率などを測定した。
血中の乳酸が高いことは「筋肉が供給量を上回る酸素を必要としていること」を意味し、体内で「嫌気的代謝」が行われていることを示している。その場合、酸素が十分に細胞に供給されている時に行われる「好気的代謝」よりも、筋肉疲労が大きくなるという。