連載「健康って何だ?~フィットネス道の探求~」第21回

運動嫌いは遺伝のせい? 「体育の時間」が好きな子と嫌いな子が生まれる理由

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遺伝子によって効果的に「運動のやる気スイッチ」を入れられるようになるかもしれない(depositphotos.com)

 あなたは「体を動かす」と、どんな感情が芽生えるだろうか? 「楽しい」「気持ちがいい」という人もいれば、「面倒」「苦しい」と避ける人もいる。

 その違いは何なのだろうか? スポーツジムに行くと、笑顔でなく、しかめっ面になってしまうなら「運動嫌い」の遺伝的素因があるかもしれない――。こんな研究結果が、『Psychology of Sport and Exercise』7月号に掲載された。
 
 報告したVUメディカルセンター(オランダ)公衆衛生・労働衛生学部のNienke Schutte氏らは、次のような運動習慣を調べた。

「快感を覚える人」は日常的に運動する

 12~25歳の一卵性双生児115組、二卵性双生児111組、これらの双生児の兄弟姉妹35人、双生児ではない兄弟姉妹6組に、サイクリング(自転車エルゴメータ)とランニング(トレッドミル)をそれぞれ20分間行ってもらった。

 そして、運動に対する「情緒的反応」を調べるため、基本的な感情(「快感」か「不快」か)や主観的な運動強度(運動は「きつい」か「楽」か)、さまざまな感情(「エネルギッシュあるいは快活な気分になったか」「いら立ちや緊張を覚えたか」など)も評価してもらった。

 この「情緒的反応」は、一卵性双生児でより似通っている場合、遺伝的素因による影響が強く、運動に対する情緒的反応の個人差の12~37%は遺伝的素因で説明できることが分かったという。

 また、運動で快感を覚える人は、日常的に運動する頻度が高いことも明らかになった。ただし、Schutte氏らは「今回の結果は、運動に対する情緒的反応と遺伝的素因との関連を示したものに過ぎない」と強調している。

 その上で「画一的なアプローチで人々に運動を促そうとしても効果は望めない可能性がある。今後、運動への情緒的反応に関わる遺伝子を特定できれば、各人の遺伝的プロファイルに応じた現実的な運動の目標を設定し、個別化した介入に結び付けることができるかもしれない」と話している。

 つまり、遺伝子によって効果的に「運動のやる気スイッチ」を入れられるようになるかもしれないというわけだ。

村上勇(むらかみ・いさむ)

フィットネスアドバイザー。JT東京男子バレーボール選手を引退後、現・スポーツクラブ「ルネサンス」に勤務。2007年から「メディカルフィットネス+スパ ラ・ヴィータ」のゼネラルマネージャーとして施設運営に携わる一方、トレーナーとして主婦や高齢者、アスリート(サッカーチーム・モンテディオ山形、加藤条冶:スピードスケート、黒田吉隆:レーシングドライバー)、著名人(指揮者・飯森範親など)を幅広く指導。現在は株式会社ドリームゲート代表として、スポーツチーム・アスリート・企業などを指導、運営協力に携わる。

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