高齢でも若々しい「脳」を維持できる!? 今日から始める脳の老化対策とは?

この記事のキーワード : 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「若々しい海馬」を維持している高齢者の生活習慣とは?

 今回の研究では、高齢者の脳においては「血管新生」が少なく、一部の海馬領域については静止期(G0期:細胞分裂も分裂準備も行なわれていない状態、ないしは細胞周期から分かれた活動停止状態)の前駆細胞ポールが小さいことも判明した。

 米ウェイル・コーネル医科大学のEzriel Kornel氏は、今回の知見に関して専門家の立場から「高齢者の脳においても、若い人の脳と同様に新しい神経細胞同士が信号を伝達したり、機能したりするものなのかどうか。その点は詳らかにされていない」と指摘。

 反面、Kornel氏は「彼らの成果を有望視している」という評価派の一人として、こう語る。

 「高齢者の脳において神経細胞を生成させ、細胞同士の信号伝達を促進する因子に関してはさらに研究を進めていく必要性と意義は大いにあるだろう。私の立場から願わくば、健康な高齢者と認知症の高齢者同士の脳を比較することにも期待したい」

 こうした意見に当のBoldrini氏も同意を示しており、次のような見解を述べている。

 「アルツハイマー病の死亡例として、脳の海馬においては神経細胞の数が減ることが従来の研究で判っている。しかし、その理由がはたして神経細胞が生成されなくなったためなのか、神経細胞が死滅した結果によるものなのか、その点は明らかにされていない」

 その点も、今後、専門家筋が期待する比較研究を実施すれば、「高齢でも認知機能が衰えない人がいる理由を突きとめられる可能性」や「新しい認知症治療の開発につながる可能性がある」と言及する。

 そしてBoldrini氏は「高齢になっても若々しい海馬を維持している人が実践している生活習慣を知ることも大切だろう」と加える。

今日から始める脳の老化対策

 多くの示唆や研究報告が寄せられるアルツハイマー病協会(Alzheimer’s Association)によれば、認知症リスクとの関連で推奨されている生活習慣例は下記のような事項だ。

 ①喫煙をしない

 ②適正体重や正常血圧の維持

 ③健康的な食生活

 ④定期的な運動

 ⑤社会活動や知的活動

 さらに、ニューロジェネシス(神経新生)を研究する神経科学者が提唱している「神経細胞を増やすための習慣」を補足紹介しておけば、

 ⑥20~30%のカロリー制限

 ⑦(食事と食事の間隔を空けるなどの)断続的断食法

 ⑧(サーモンなどの)脂身の多い魚に含まれるオメガ3脂肪酸の摂取

 ⑨ブルーベリーやダークチョコレートに含まれるフラボノイドの摂取

 対して、飽和脂肪酸の摂り過ぎや飲み過ぎは、「神経細胞の形成」に悪影響を与える食習慣となる。

 海馬の神経細胞の生成も「一日にして成らず」、生活習慣の見直し時期に、それこそ「年齢差」はない。
(文=編集部)

睡眠障害治療の新たな幕開け!個人に必要な睡眠の「量」と「質」を決める遺伝子を探せ
インタビュー「睡眠障害治療の最前線」後編:筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構・佐藤誠教授

前編『『人間の「脳」は7時間程度の睡眠が必要! 本当のショートスリーパーは100人に1人程度!?』』

ひとくちに睡眠障害といっても、さまざまな症状がある。1990年代後半から脳内に眠気を誘う「睡眠物質」を探す研究にスポットライトが当たり、2018年からは睡眠の質と量を決める遺伝子の解析も進められている。今回は睡眠障害について、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構の佐藤誠教授に話しを聞いた。

Doctors marche アンダカシー
Doctors marche

精神保健福祉士。フリージャーナリスト。1977年…

里中高志

医療法人社団 三喜会 理事長、鶴巻温泉病院院長。…

鈴木龍太

フリージャーナリスト。1949年、東京都生れ。法…

郡司和夫