連載「肥満解読~痩せられないループから抜け出す正しい方法」第17回

子供や痩せ型の女性は厳しい糖質制限に注意!筋肉が少ない人は体調を崩すことに?

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糖質制限には筋肉が必要

 さて、それではどうして「筋肉量の少ない痩せた女性は糖新生がうまくいかない」のでしょう?

 それに関するわかりやすい説明を、「たがしゅう先生」こと南鹿児島さくら病院神経内科医の田頭秀悟先生がされています。それを要約すると、筋肉量が多いと筋肉からのアラニンの放出量が増えて、それが肝臓での糖新生の原料となるので、糖新生が十分に行われます(「コリ回路」と呼びます)。

 しかし、元々痩せていて筋肉量の少ない人がいきなり厳しい糖質制限をすると、アラニン不足で糖新生が不十分になるというものです。その結果、エネルギー不足で低T3症候群が誘導されるわけです。だから糖新生の足りない分の糖質を食べて補いましょうというわけです。

 このことを別の角度から見ると、痩せた女性や小さい子供達が甘いものを好きな理由もわかりますね。筋肉量が少なくて糖新生能力が低いので食べ物から糖質を摂取したくなるのです。逆に、健康な男性が成長につれて甘いものが欲しくなくなる理由もわかりますね。筋肉が増えてくると十分に糖新生できるので、甘いものを欲しいと思わなくなるのです(個人差はあります)。

 ですから、乳幼児で糖質制限を考える場合、母乳に含まれている乳糖程度の糖質摂取量から、筋肉量の増加に合わせて徐々に減らしていくことが大事です。筋肉量の少ない女性の場合、筋肉量を増やしながら糖質制限を徐々に進めていくことが大事です(筋肉が増える分、体重は増えるかもしれませんが)。

 徐々に糖質摂取量を減らす方法としては、緩やかな糖質制限である「山田式糖質制限」や、まずはたんぱく質と脂質に体を馴らす「MEC食」の導入がお勧めです。また、「食べ順ダイエット」をそこに組み合わせることで食後高血糖を回避できます。

 これらの緩やかな糖質制限の導入は、筋肉量が少ない以外の理由で糖新生能力の低い人にも適した方法です。今回の記事と関連して、“体質的に糖新生能力が低い”方々の存在について次回は触れてみたいと思います。

(文=吉田尚弘)

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吉田尚弘(よしだ・ひさひろ)

神戸市垂水区 名谷病院 内科勤務。1987年 産業医科大学卒業、熊本大学産婦人科に入局、産婦人科専門医取得後、基礎医学研究に転身。京都大学医学研究科助手、岐阜大学医学研究科助教授後、2004年より理化学研究所RCAIチームリーダーとして疾患モデルマウスの開発と解析に取り組む。その成果としての<アトピー性皮膚炎モデルの原因遺伝子の解明>は有名。
その傍らで2012年より生活習慣病と糖質制限について興味を持ち、実践記をブログ「低糖質ダイエットは危険なのか?中年おやじドクターの実践検証結果報告」を公開、ドクターカルピンチョの名前で知られる。2016年4月より内科臨床医。

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