高糖質・低脂肪食が子供の健康にも悪いことは明らか(depositphotos.com)
子供の糖質制限に関して、「子供の糖質制限は理論的に何の問題もない」と私は考えます。私に小さな子供がいたとしたら、積極的に「低糖質・高たんぱく・高脂質」の食事を与えます。
しかし、子供の糖質制限を激しく否定される人々がいらっしゃるのもわかっています。「糖尿病の大人ならともかく、育ち盛りの子供はバランスよく一定量の糖質を毎日食べなければならないに決まってる! 常識にエビデンスなんて必要ない!」「子供に糖質制限して成長が止まったらどう責任を取るんだ! 絶対に大丈夫だというエビデンスを見せろ!」と激しいお言葉をいただきます。
ということで、この問題に関していくつかのことを述べます。
①子供が糖質制限しても何の問題もないという理論的な理由
②この30年で子供の2型糖尿病患者が増えている現実
③離乳食で肉を食べさせると身長はむしろ伸びるという研究結果
これらについて読んでいただいた上で各自でご判断ください。
人類が毎日たくさんの糖質を食べるようになったのは最近のこと
現生人類の祖先が草原で採集生活を始めたのは、少なく見積もっても250万年前です。そしてホモ・サピエンスはおよそ25万年前にアフリカに出現しています。7万年前ころからの氷河期にはマンモスなどの大型獣の狩猟も目立ってきますが、それまでは、昆虫や小動物、肉食獣の食べ残し、魚介類などの採集生活、要するに「高タンパク・高脂質食」です。草木の新芽、果実や穀物などの糖質は、一部の季節にたまにしか手に入りません。
つまり人類は250万年、8万世代以上にわたって、高蛋白質・高脂質で低糖質な食生活を続けながら繁栄を続けてきました。体を作っている栄養素は「たんぱく質」と「脂肪」で、糖質はごくわずかですし、赤血球や脳のエネルギーとして必要なブドウ糖の量も1日150gもあれば十分で、すべてたんぱく質と脂質から体内で作り出せます(糖新生)。つまり、糖質をまったく摂取しなくても問題なく生きていけます。実際に現生人類の消化管の構造は肉食動物に近いものです。
一方、人類が農耕を始めたのはメソポタミアで1万2000年前、インドや中国などで6000〜8000年前、日本での農耕は4000年前、稲作は3000年前からです。一般庶民が毎日米を食べるのは江戸時代中期からで、世界的に見ても同様です。
穀物が豊富な食卓になってから数百年から数十年の歴史しかありません。ほんの3〜10世代かそこらです。我々が糖質をたくさん食べるようになったのはごく最近の話であり、高糖質・低脂肪食には歴史もないのです。子供だけは例外的に高糖質食を何万年も続けてきたという歴史も、そうすべきだという科学的根拠もありません。