「節分」で大豆を食ると「病気」も追い払う(depositphotos.com)
鬼は外、福は内! 2月3日は節分だ。
「恐るべき年取豆の多きかな」(木村たみ子『水の音』)という秀句がある。子どもの頃は、豆の数が少ないのが不服だったが、年をとると両手からこぼれ落ちるほどだ。老いの憤りとも悲しみとも感謝とも読める。
節分の翌日、2月4日は立春。春がようやく芽吹く。
丑寅(うしとら)の時節に病気に罹らないように
冬から春へ、五行の「水」から「木」へ、「丑(うし)」の1月から「寅(とら)」の2月へ――。
その分水嶺が「節分」だ。古来より「節分」は、丑寅(うしとら)の時節に病気に罹らない呪(まじな)いを掛けるために行って来た追難の儀式で、中国から伝来後、室町時代頃に民衆に定着した。
中医学では、病気は丑寅から発症し、悪化するとしているので、インフルエンザやウイルス性胃腸炎などが猛威を震うこの時期、節分の豆まきは実に理にかなっている。
また、中医学の「経絡(けいらく)」の理論によると、午前1時から午前3時までの丑の刻は「肝経」という肝臓の経絡の時間帯なので、肝臓を休ませなければならない。経絡とは、気や血液や水などの代謝物質の通り道で、経脈は縦の脈、絡脈は横の脈の意味だ。
しかも、節分は冬の「土用の最終日」に当たることから、土用には五行の土の気を高め、肺経や大腸経の働きを強める大豆が珍重された。
豆を鬼の魔目(まめ)をめがけて投げると「魔が滅する」
なぜ煎り大豆(福豆)を播くようになったのだろう? 一説では「豆を煎る」が「魔目(まめ)を射る」に通じることから、豆を鬼の魔目(まめ)をめがけて投げると、魔が滅する(魔滅/まめ)としている。
柊(ひいらぎ)の枝に炙った鰯(いわし)の頭を刺した「柊鰯」を玄関に飾る風習は、鬼を近寄らせない魔除けだ。確かに鰯の顔は鬼面だ。今や大阪の船場から全国に広がった「恵方巻」も縁起物。今年の恵方は「南南東」。その方角に向かい黙って丸かじりすれば、ご利益があるかも。