マラソンランナーの「筋肉」は何色?(depositphotos.com)
12月5日、ハワイで開催される「ホノルルマラソン」が45周年を迎えるという。1984年から日本航空(JAL)が協賛しており、正式大会名は「JALホノルルマラソン」。近年は、参加者の約半分を日本人ランナーが占めるそうだ。
秋冬に入ると有名なマラソン大会が催される。私は病理医という職業柄、参加するランナーの「筋肉の色」が頭に浮かぶ。
「ヒトの脂肪は『黄色い』が、ウシやブタの脂肪は『白い』。なぜだろう?」
「大脳皮質が『灰白色』をしている理由は?」
「骨格筋が『赤い』のはなぜ?」
「臓器の色」は、手術執刀医や病理解剖医が病変の診断を下し、病気の状況を把握する上で極めて大切な情報となる。医学部の授業で、しばしば上記のような質問をするが、正確な答えが返ってくる確率は、残念ながら高いとは言えない。
最後の質問に、次のような補足質問を、私はつい追加してしまう。
「サンマ、アジ、タイなどの近海魚が白身なのに対して、カツオ、マグロなどの遠海性回遊魚が赤身なのはどうして? 白身の魚では、いわゆる血合いの部分だけがどうして赤いの?」
人体で「色のついた物質」の種類は限られている
人体で「色のついた物質」の種類は限られている。カラダの元になるタンパク質にせよ、あまれば<太鼓腹>や<二重あご>をつくる脂肪にせよ、しょっぱい塩分にせよ、原則としてこれら物質は「白色(溶かせば無色)」である。
髪の毛やほくろの「黒」は「メラニン」の色だし、赤血球の「赤」は「ヘモグロビン」による。大脳灰白質の「灰白色」は、神経細胞に含まれる「リポフスチン(消耗色素)」に基づく。
ヒト、トリ、カエルの脂肪が「黄色い」のは、カロチノイド含量が高いためである。「カロチノイドはニンジンやカボチャの皮の色の主役で、水に溶けない脂溶性のビタミンAの仲間。小学校の家庭科でも習うよ」と説明しても、しばしキョトンとする医学生――。
外来性の「炭粉」やみごとな色彩の「刺青」の色素は別格だ。