連載「病理医があかす、知っておきたい「医療のウラ側」」第25回

マラソンランナーの「筋肉」は何色? ヒントは<赤身魚と白身魚の違い>にある!

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マラソンランナーの「筋肉」は何色?(depositphotos.com)

 12月5日、ハワイで開催される「ホノルルマラソン」が45周年を迎えるという。1984年から日本航空(JAL)が協賛しており、正式大会名は「JALホノルルマラソン」。近年は、参加者の約半分を日本人ランナーが占めるそうだ。

 秋冬に入ると有名なマラソン大会が催される。私は病理医という職業柄、参加するランナーの「筋肉の色」が頭に浮かぶ。

 「ヒトの脂肪は『黄色い』が、ウシやブタの脂肪は『白い』。なぜだろう?」
 「大脳皮質が『灰白色』をしている理由は?」
 「骨格筋が『赤い』のはなぜ?」

 「臓器の色」は、手術執刀医や病理解剖医が病変の診断を下し、病気の状況を把握する上で極めて大切な情報となる。医学部の授業で、しばしば上記のような質問をするが、正確な答えが返ってくる確率は、残念ながら高いとは言えない。

 最後の質問に、次のような補足質問を、私はつい追加してしまう。

 「サンマ、アジ、タイなどの近海魚が白身なのに対して、カツオ、マグロなどの遠海性回遊魚が赤身なのはどうして? 白身の魚では、いわゆる血合いの部分だけがどうして赤いの?」

人体で「色のついた物質」の種類は限られている

 人体で「色のついた物質」の種類は限られている。カラダの元になるタンパク質にせよ、あまれば<太鼓腹>や<二重あご>をつくる脂肪にせよ、しょっぱい塩分にせよ、原則としてこれら物質は「白色(溶かせば無色)」である。

 髪の毛やほくろの「黒」は「メラニン」の色だし、赤血球の「赤」は「ヘモグロビン」による。大脳灰白質の「灰白色」は、神経細胞に含まれる「リポフスチン(消耗色素)」に基づく。

 ヒト、トリ、カエルの脂肪が「黄色い」のは、カロチノイド含量が高いためである。「カロチノイドはニンジンやカボチャの皮の色の主役で、水に溶けない脂溶性のビタミンAの仲間。小学校の家庭科でも習うよ」と説明しても、しばしキョトンとする医学生――。

 外来性の「炭粉」やみごとな色彩の「刺青」の色素は別格だ。

堤寛(つつみ・ゆたか)

2017年4月より、はるひ呼吸器病院(愛知県)病理診断科の病理部長。1976年、慶應義塾大学医学部卒、同大学大学院(病理系)修了。東海大学医学部に21年間在籍。2001〜2016年、藤田保健衛生大学医学部第一病理学教授。「患者さんに顔のみえる病理医」をモットーに、病理の立場から積極的に情報を発信。患者会NPO法人ぴあサポートわかば会とともに、がん患者の自立を支援。趣味はオーボエ演奏。著書に『病理医があかす タチのいいがん』(双葉社)、『病院でもらう病気で死ぬな』(角川新書、電子書籍)『父たちの大東亜戦争』(幻冬舎ルネッサンス、電子書籍)、『完全病理学各論(全12巻)』(学際企画)、『患者さんに顔のみえる病理医からのメッセージ』(三恵社)『患者さんに顔のみえる病理医の独り言.メディカルエッセイ集①〜⑥』(三恵社、電子書籍)など。

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