シリーズ「これが病気の正体!」第9回

【閲覧注意】30~40代にも少なくない「心筋梗塞」~喫煙者に多い突然死の恐怖~

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44歳の男性~発症後7日目で死亡

【閲覧注意】若者も少なくない「心筋梗塞」で突然死~の画像2

 私が経験した患者(44歳の男性)の事例を紹介しよう。20本/1日ペースで24年間の重喫煙歴がある。彼は2年前に「高血圧」を指摘されるものの、放置していた。1週前から運動すると苦しくなる<労作時の胸部圧迫感>を認め、安静にて改善していた。

 血液中の白血球数が17,700と上昇。血中酵素は、クレアチンキナーゼ(CK)686単位、AST 70単位、ALT 69単位と上昇。心電図では、V4~V6誘導で異常Q波、V3~V6誘導でST上昇。胸部エックス線写真で心胸郭比56%と心臓が拡大していた。以上より、心筋梗塞(後壁梗塞)と診断された。

 入院中に「心不全」が急激に悪化し、発症後7日目で心停止し、死亡した。上記の写真には、病理解剖時の心臓割面の肉眼像(左:下からみあげた図)と顕微鏡標本(右)を示す。

重喫煙で<冠状動脈の収縮>が心筋梗塞を助長

【閲覧注意】若者も少なくない「心筋梗塞」で突然死~の画像3

 心臓の重さは450gと肥大。水平割面で、「後壁中隔」に広汎な新鮮心筋梗塞がみられた。前~側壁には梗塞はなく、心肥大が目立つ。新鮮梗塞部の心筋壁の厚さは薄くなっていた。右冠状動脈の枝である<後下降枝>に、高度の動脈硬化性狭窄と新鮮血栓の形成を認めた。

 顕微鏡的に、後壁の心筋線維は広汎に「凝固壊死」に陥り、その間に肉芽組織(にくげそしき)の形成を認める。典型的な「新鮮心筋梗塞」の所見である。

 前~側壁の心筋線維には梗塞はみられない。心筋細胞はサイズを増すとともに、四角形に角ばった「箱形の核」がみられ、心肥大の顕微鏡的特徴を示していた。肺は「急性肺水腫」を呈しており、心筋梗塞による心不全が死因とみなされた。

 年齢の割に動脈硬化が進行しており、重喫煙による冠状動脈の収縮が心筋梗塞を助長したものと考えられた。皆さん、禁煙しましょう。

シリーズ「これが病気の“正体”!」バックナンバー

堤寛(つつみ・ゆたか)

つつみ病理相談所http://pathos223.com/所長。1976年、慶應義塾大学医学部卒、同大学大学院(病理系)修了。東海大学医学部に21年間在籍。2001〜2016年、藤田保健衛生大学医学部第一病理学教授。2017年4月~18年3月、はるひ呼吸器病院・病理診断科病理部長。「患者さんに顔のみえる病理医」をモットーに、病理の立場から積極的に情報を発信。患者会NPO法人ぴあサポートわかば会とともに、がん患者の自立を支援。趣味はオーボエ演奏。著書に『病理医があかす タチのいいがん』(双葉社)、『病院でもらう病気で死ぬな』(角川新書、電子書籍)『父たちの大東亜戦争』(幻冬舎ルネッサンス、電子書籍)、『完全病理学各論(全12巻)』(学際企画)、『患者さんに顔のみえる病理医からのメッセージ』(三恵社)『患者さんに顔のみえる病理医の独り言.メディカルエッセイ集①〜⑥』(三恵社、電子書籍)など。

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