白髪はどうしてできるのか?(depositphotos.com)
男性では、白髪が多いほど心疾患リスクが上昇する可能性があることが新たな研究で示唆された。ただし、今回の研究は毛髪の色と心臓リスクとの関連性を示したに過ぎず、因果関係を示したわけではない。
この研究では42~64歳の成人男性545人を対象として、狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患(CAD)の徴候と毛髪の色との関連を分析した。全ての対象者はプラークの蓄積などを調べるためにマルチスライスCTによる冠動脈造影を受け、さらに白髪の程度に基づき「真っ黒」から「真っ白」まで1~5群に分類された。
その結果、対象者の80%ではCADの徴候が認められた。CADのある対象者では、CADのない対象者に比べて白髪化スコアが有意に高く、黒髪よりも白髪の方が多い群(3~5群)である可能性が高かった。
研究著者であるカイロ大学(エジプト)心臓専門医のIrini Samuel氏は、「この関連は、年齢やベースライン時の心疾患発症リスクの有無にかかわらず認められた。なお、女性は髪を染める頻度が高いために、今回の解析には含めることができなかった」と話している。
白髪の遺伝子も発見されている
今回の解析によると、白髪の増加を予測する独立因子は加齢のみであった。しかし同時に、白髪は“生物学的老化”に伴って生じる可能性があるとも同氏らは指摘している。これらはいずれも、全身の炎症の亢進、ホルモンの変化、DNA修復能力の低下、細胞の分裂・成長能力の低下などを含む、細胞レベルの劣化により発現するものだからだ。
当サイト『ついに「白髪」を生み出す遺伝子を発見! ゲノム編集によってブロンド髪の美女も減る!?』で、白髪遺伝子の発見の記事を掲載した。
ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ遺伝学研究所のアンドレ・ルイス・リナレス教授とK・アディカリ教授の研究チームは、髪を白くする「IRF4遺伝子」を世界で初めて特定したと英国の科学誌『Nature Communications』に発表しのだ。
「IRF4遺伝子」は毛母細胞の中のメラニン色素に作用して髪を白くする働きがあり、メラニン色素の生成・蓄積や毛髪の色の決定に強く関わっていることが判明。
「白髪化の初期段階では、IRF4遺伝子がメラニン色素を作り出す毛母細胞の生存と維持に深く関係している。髪染めが白髪を食い止めるための唯一の選択肢ではなくなるかもしれない」と話している。