連載「恐ろしい危険ドラッグ中毒」第36回

カフェインは現代の代表的<危険ドラッグ>! 人気の「カフェイン製剤」50錠で死ぬ

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最も流通しているカフェイン製剤だと50錠で致死量に(depositphotos.com)

 最近、「カフェイン」が含まれている風邪薬や鎮痛薬を大量摂取して、死亡例を含む重篤な中毒症状を呈した報告が相次いでおり、中毒領域での一大関心事となっている。同様に日本中毒学会でも、毎年、同中毒に関する症例が多数発表してきた。

 日本中毒学会の委員会は、2011年4月から2016年3月までの5年間において、カフェインを含有する薬剤やサプリメント、エナジードリンクを摂取後に病院に救急搬送された症例に関しての、多施設共同調査を行った。

 それによると、38施設101例の患者が調査対象となった。カフェイン中毒は、2011年4月より2013年3月までは15例を認めただけだったが、2013年4月より2014年3月には24例と急激に増加し、2014年4月より2015年3月までには25例、さらに2015年4月より2016年3月には37例と増加の一途をたどっている。

 101例のうち男性が53例、女性が48例、そのうち97例(95%)は、風邪薬などの錠剤を服用し、エナジードリンクなどの液体を接取したのは10例のみであった。

主に「吐き気」や「嘔吐」などの消化器症状が

 患者の状況を見てみると、カフェイン含有量は1.2~82.6g(中央値は7.2g)、症状は、吐き気(81.2%)、嘔吐(74.3%)などの「消化器症状」が多い。意識レベルの低下が53.5%、不穏が26.7%、重篤な不整脈を誘発しやすい低カリウム血症の出現が85.1%と高頻度に認められた。

 さらに、体内が酸性に傾く高乳酸血症(43.6%)、高血糖(42.6%)、急性腎不全や多臓器不全に進展する原因となる横紋筋融解症(34.7%)などが認められた。

 カフェイン血中濃度は、17例(16.8%)で搬送時に測定されたが、2.0~530μg/mLで、意識レベル低下が顕著で、低血圧の症例ほど血中濃度は高かった。

 20g以上のカフェイン摂取者または血中濃度が200ug/mL以上を呈した患者7例(6.9%)が心停止状態であり、うち3例が鬼籍に入った。

 しかしほとんどの患者(96%)が完全回復。血液透析や直接血液灌流(体内の血液を取り出して、カフェインを体外に排泄させ、浄化された血液を体内に戻す治療法)を積極的に行って、完全回復させた症例を15例認めた。

横山隆(よこやま・たかし)

小笠原記念札幌病院腎臓内科。日本中毒学会認定クリニカルトキシコロジスト、日本腎臓学会および日本透析学会専門医、指導医。
1977年、札幌医科大学卒、青森県立病院、国立西札幌病院、東京女子医科大学腎臓病総合医療センター助手、札幌徳洲会病院腎臓内科部長、札幌東徳洲会病院腎臓内科・血液浄化センター長などを経て、2014年より札幌中央病院腎臓内科・透析センター長などをへて現職。
専門領域:急性薬物中毒患者の治療特に急性血液浄化療法、透析療法および急性、慢性腎臓病患者の治療。
所属学会:日本中毒学会、日本腎臓学会、日本透析医学会、日本内科学会、日本小児科学会、日本アフェレシス学会、日本急性血液浄化学会、国際腎臓学会、米国腎臓学会、欧州透析移植学会など。

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