60℃で虫歯予防、80℃を超えるとカフェイン急増!? お茶の効能は淹れる温度でこんなに違う

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お茶の効能は、淹れる温度がポイント shutterstock.com

 暑くなったり涼しくなったり、夜は少し冷え込むときもまだある、そんな季節の変わり目に、「今夜は、熱いお茶を飲んで、ほっこりして寝よう」という人もいるだろう。しかし、注意してほしいことがある。それは、お茶を淹れるお湯の温度。お茶は温度をコントロールすることで、カラダを上手に温めたり、逆に覚醒作用を引き出したりすることもできる。

 お茶は80〜85℃を超えた熱湯で淹れると、カフェインとカテキンの量が増える。カフェインは「苦味」、カテキンは「渋み」の成分だが、高い温度で淹れると浸出を早めてしまい、結果的に「興奮する(=眠れなくなる)」ことになるのだ。

 一般に1日に250mg以上のカフェインを摂取すると、夜中に目がさめる回数が多くなるという研究報告もある。寝る前に飲むお茶は、ぬるめを心がけたほうがいい。逆に「今日は頑張って夜遅くまで仕事だ!」というときには、熱いお湯で淹れたお茶を飲んだほうが目を覚まし続けていられる。

60℃のお茶で虫歯予防に?

 静岡県工業技術研究所は「60℃のお茶に歯周病や虫歯菌を死滅させる可能性がある」と発表している。

 同研究所の大川上席研究員らのグループは、通常のお茶と同等の1㎖中0.2㎎の濃度のカフェイン入り溶液に、常在菌、虫歯菌、歯周病菌などをまぜて生存率を調査。その結果、カラダに必要な常在菌が80%生き残ったのに対し、虫歯菌、歯周病菌の生存率は40%以下だったという。

 つまり「虫歯菌、歯周病菌のみを減らすのに効果的」という結果が得られたのだ。面白いのが、温度を50℃に下げると細菌の死滅率が下がったこと。「60℃程度のちょうどよい温かさのお茶」に効果があるのではないかと考えられている。

茶どころでは常識「いいお茶はぬるいお湯で」

 静岡など全国の茶どころでは、「玉露などの高級なお茶は50~60℃のぬるいお湯で淹れる」というのは常識だ。お茶の旨味テアニン(アミノ酸)は低い温度でも浸出するのに対し、前述のカフェイン、カテキンは高い温度でより多く浸出する。低温で淹れると、苦味や渋みを抑えてお茶の旨味を楽しむことができるからだ。

 お湯の温度は器に移し替えるたびに10℃ずつ下がっていく。沸騰した100℃のお湯をポットに移すことで90℃になり、それを急須に注げば80℃前後になる。だからぬるめのお茶を入れたいときはもう2回ほど器を移すことで、ちょうど飲み頃のお茶の温度に調整することができる。

 ここまで「お茶」と書いていたのは緑茶のことだが、実際には「紅茶」も「烏龍茶」も基本的には同じ茶葉から作られている。温度に関しては、どれも同じ論理だ。紅茶は緑茶の葉を完全発酵したもので、あの赤い色は発酵したときにカテキン(タンニン)が酸化して作られる。烏龍茶はその中間で「半発酵茶」と呼ばれているものを指す。

 もちろん、緑茶の好みは人によって、季節によって、シーンによっても分かれるところだ。和菓子には渋くて苦いお茶が合う。暑い夏こそ熱いお茶がいいという人もいるし、水出しの緑茶の爽快感はまた格別だ。「グラグラと煮えたぎったお湯で淹れた熱いお茶じゃないと飲んだ気がしない」と言う人もいるだろう。

 好みは人それぞれだが、思いがけず眠れなくなったりしないように、また歯周病や虫歯予防の効果ものおおいに期待しつつ、温度によってお茶の成分が違ってくることを覚えておいても損はないだろう。
(文=編集部)

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