カフェインの効果は3日以上は続かない!(shutterstock.com)
学生時代は夜を徹しての試験勉強に受験勉強、社会人になれば締切厳守の報告書や企画書の作成に追われ……。そんな「人生は睡眠不足の連続だ」という人にこそ読んでほしい最新研究を紹介したい。
平日の平均睡眠時間が6時間を切るような場合、「カフェイン飲料」を頼りにしている人は少なくない。ところが、カフェイン神話を揺るがせる研究報告が、過日、米国・デンバーで開催されたAPSS(睡眠専門家協会)集会で発表された。
報告者は、メリーランド州シルバースプリングにあるウォルター・リード陸軍研究所のTracy Jill Doty氏らである。それによると、何日か連続で睡眠不足が続いた後は、意外にもカフェインによる覚せい(=眠気覚まし)や精神能力(=集中力)を改善する効果が得られなくなるというのだ。
3日目以降はプラセボと同じ結果に
カフェイン効果を探る研究は、次のような手順で行なわれた――。
健康なボランティア48人が集められ、一晩の睡眠を「5時間」に制限した条件下で、5日間を過ごしてもらった。その間、被験者たちは1日2回、200mgのカフェインか有効成分を含まないプラセボ(偽薬)のいずれかを摂取し続けた。
さらに、目が覚めている間は1時間ごとに知的技能テストが全員に実施され、それが5日間にわたって繰り返された。
その結果、最初の2日間こそカフェイン摂取組がプラセボ組よりも優位性を示し、試験成績がよかった。だが、残りの3日間の成績は、逆転までは至らないまでも、プラセボ組との差が認められなくなってしまった。
前出のDoty氏は「カフェインは睡眠が足りない時の能力低下に抗うために、世間でも広く使用されています。しかし、今回のデータは、1日当たりの有効用量のカフェインを摂取し続けても、複数日の睡眠制限から生じる能力低下を補う(予防する)には不十分であるという事実を示唆しています」と話す。
そして、平均的なコーヒー1杯分のカフェイン含有量は95mgだが、「とりわけ意外だったのは1日2回の、200mgのカフェイン摂取による能力上昇が、3日間(×5時間)の睡眠制限後に失われてしまった点でした」と、Doty氏は自身の実験結果に驚きを隠せない。