どうやってオス・メスの切り身を見分けるか?
というわけで、新鮮なメスのイカ刺しには、とりあえずご用心を! どうやってオス・メスの切り身を見分けるかって? 痛い目にあえばわかります………いや実は、オスこそ大量の精鞘をもっているので、オス・メスの見分けは難しい。
『イカはしゃべるし、空も飛ぶ―面白いイカ学入門』には、大量の精鞘が口中に刺さってしまった釣り人の話も記されていた。
その人は、釣り上げたイカに、舟の上で内臓もろともむしゃぶりついたのだ。きっと、よほどの通だったに違いない。その新鮮きわまりないイカは、間違いなく成熟したオスだったのだ。
寄生虫にもご用心を!
蛇足ながら、イカに刺されるのは何も精鞘だけに限らないようだ。イカの内臓にたかる数ミリ大で白くて角(鉤)を出したり引っ込めたりしている虫を見たことがあるだろうか?
この虫はイカやエイに寄生するサナダムシの仲間(条虫類)で、テンタクラリアと称される。寄生部位で鉤の先端を宿主体内に引っかけて寄生するので、ときにヒトの咽頭に吸着することがあるらしい。のどの奥にしっかりと吸着するため医療機関の世話になるはめとなる。
イカに刺された経験のある方、あるいはそうした<運のいい>患者さんをご覧になった先生方は、ぜひ当方まで連絡していただきたい。
通常、イカの精鞘も角のある虫も切除しなければならないほどしっかりと刺さるそうです。できれば、ホルマリン固定標本の一緒に送ってくだされば幸いです。くれぐれも、イカの生喰いにはご用心あれ。