炎症性皮膚疾患「酒さ」による赤鼻や肌荒れの犯人は……赤ワインではなく白ワイン!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

お酒を美味しく嗜むために

 では、これまで「酒さを引き起こす飲みもの」という通説から黒歴史を背負わされてきた赤ワインの場合はどうだったのか……? Li氏ら研究陣の見解は次のようなものである。

 「赤ワインが酒さ特有の赤みを引き起こすということが従来から言われてきたが、その作用は既に酒さを発症している患者の例で報告されてきた傾向がある(ので疑わしい)」

 とはいうものの、今回の研究対象層があくまでも女性のみに限られており、この赤・白・蒸留酒と酒さの関連が男性層にも当てはまるかは依然不明である。また、関連性は示されたが、それらの因果関係は本研究も明らかにしていない。

 それでもUCLAメディカルセンターの皮膚科医、Carolyn Goh博士は「さまざまな種類のお酒ごとに違いがある点は大変興味深い」としながら、赤ワインをめぐる過去の高リスク嫌疑についてもこう補足する。

 「既に酒さを持っている人々の場合、アルコール以外にも日光の影響やカフェイン摂取、熱いものやスパイシーな食品などの一般的な引き金も発症につながる。つまり彼らはトリガー(引き金、誘因)が違うわけだから、そのリスクがすべての患者にも当てはまるとは限らない」

 Li氏らも「白ワインと蒸留酒が酒さリスクを高める理由は未だ不明である」としながら、現時点での見解をこう述べている。

 「白ワインや蒸留酒は免疫系を低下させ、血管拡張に寄与するのではないかと考えられる。これらの酒類が酒さの発症を促進するのに対し、件の赤ワインの場合は(既発症者の)症状を悪化させるのだと思われる。そして、この前者と後者の違いには生物学的な理由があるはずだ」

 高リスクを生む理由や、飲酒影響の男女差については不明ながら、今回の研究成果から得られた関連性を「医師や消費者が認識しておくこそが重要だろう」とLi氏らは強調している。

 肉には赤、魚には白。それに加えて、赤は「悪化」、白は「促進」という、新たなリスク雑学を身につけておこう。もちろん、飲み過ぎはさらなるリスクを生みますぞ。
(文=編集部)

バナー1b.jpeg
HIVも予防できる 知っておくべき性感染症の検査と治療&予防法
世界的に増加する性感染症の実態 後編 あおぞらクリニック新橋院内田千秋院長

前編『コロナだけじゃない。世界中で毎年新たに3億7000万人超の性感染症』

毎年世界中で3億7000万人超の感染者があると言われる性感染症。しかも増加の傾向にある。性感染症専門のクリニックとしてその予防、検査、治療に取り組む内田千秋院長にお話を伺った。

nobiletin_amino_plus_bannar_300.jpg
Doctors marche アンダカシー
Doctors marche

あおぞらクリニック新橋院院長。1967年、大阪市…

内田千秋

(医)スターセルアライアンス スタークリニック …

竹島昌栄

ジャーナリスト、一般社団法人日本サプリメント協会…

後藤典子