ビールをやめて、今晩から赤ワインにしよう! shutterstock.com
日本は今、1998年以来の「第7次ワインブーム」を迎え、消費数量は過去最高を更新中だという。チリ産を始めとする手頃で品質の良いワインや、国産ワインの人気もブームを牽引しているというが、そのおいしさとともに「健康志向」も重要なファクターだろう。
特に、赤ワインに含まれるポリフェノールの抗酸化作用が、アンチエイジング効果を発揮。適量のワインが、がんを遠ざけ、心疾患や脳梗塞などの病気にかかりにくくすることは知られている。
そんな中、さらに新しい健康効果が明らかになった。先日2月5日「赤ワインが脂肪燃焼効果を持つかもしれない」という研究成果が、米・オレゴン州立大学のサイトに掲載されたのだ。
赤ブドウの成分が肝臓脂肪を抑える
農業科学部の生化学・分子生物学者Neil Shay氏らは、人間の肝臓と肝細胞を、「マスカダイン」という種のブドウから発見された4つの天然成分にさらして経過を観察した。その結果、すでにできていた脂肪細胞の成長を抑えるとともに、新しく脂肪細胞が形成されるのを劇的に遅らせる効果が見られたという。特に幹細胞内の脂肪酸の代謝をアップさせる効果が顕著だった。
4つの成分のうち特に強力な効果を持っていたのは、天然ポリフェノールの一種であるエラグ酸という物質。エラグ酸はいちごなどのベリー類にも多く含まれ、美白効果が高く化粧品などにも使用されている成分だ。
ちなみにマスカダインは、北アメリカ南部原産のブドウで、一粒が3〜5cmと大きいもの。一般的なブドウよりも染色体が1本多いため、本来は別の「属」に分けられる果実だ。アメリカ西海岸などで一般的だが、日本でもここ数年で栽培量が増え、ワインやサプリメントなどに加工されている。
マウスの血糖値も下がった!
さらに研究グループは、高脂肪の食事でマウスを太らせ、そのうちの一部に赤ブドウから抽出したエキスを与えながら10週間にわたって観察した。すると、単に脂肪の多い食事だけを与えられていたマウスに比べて、ブドウエキスを与えたマウスは肝臓の脂肪の量が少なく、血糖値も低かった。ちなみにこれらのマウスに与えられたブドウエキスの量は、人間に換算すると1日1カップ半に相当するという。
Shay氏は「今回の実験では、この成分が減量に役立つかどうかまでは確認できなかった」と断りつつも「脂肪を燃焼させることで、太りすぎの人の肝機能を改善することはできる。赤ブドウのようにごくありふれた食品が、脂肪の有害な蓄積を減らすことができれば画期的だ」としている。
エラグ酸の脂肪蓄積を抑える作用がダイエットに繋がるかどうかは、今後の研究を待ちたいところだ。これでまたブドウと赤ワインの株が上がったといえるのだが、ワインはアルコールであることを忘れてはいけない。やはり毎日グラス一杯程度を食事と一緒にゆったり楽しむのが、今のところいちばんのワイン健康法といえるのだろう。
(文=編集部)