女性の適量は男性の半分くらい(shutterstock.com)
かつて女性が酒を飲むのは「はしたない」ことだと見なされていた。しかし、女性の社会進出が進んだ今、男性と同じように「仕事のあとで一杯」は珍しいことではない。
昨年12月に厚生労働省が発表した「国民健康・栄養調査」(2014年度)で飲酒習慣のある女性が増えていることが、それを裏付ける。
調査によると、飲酒習慣のある男性は10年前に比べて36.8%から32.8%に減少したが、女性は7.2%から8.7%に増加。年齢調整値であるが、男性の増減は見られないが、女性は20〜60代の各年代で増えた。
日本家族計画協会が運営する健康情報サイト「ウーマンズヘルス」では、日常の予防にアルコール依存を取り上げ、「女性はアルコールの影響を受けやすい。自分は酒に強いと思い込んで飲んでいる人も、あまり飲めないのに付き合いで飲んでいる人もどちらも危険」と警鐘を鳴らしている。
30歳を過ぎて酒が強くなったのは、女性ホルモン減少の証拠?
これまでアルコールに関する性差研究がなされてきたが、その一つに女性の体は男性に比べて肝臓でのアルコール分解が遅いことがある。しかも男性に比べ脂肪が多いため、アルコールの血中濃度が上がりやすい。
男性の半分の飲酒量で肝機能障害をきたし、男性に比べて短期間で脂肪肝になる。肝硬変の発症時期は男性に比べ平均11歳若いことがわかっている。女性の肝臓は男性よりも小さく、肝機能障害のリスクが高いということも覚えておきたい。
なぜ女性はアルコールに弱いのかというと、女性は「女性ホルモンに支配されている」からだ。「ウーマンズヘルス」はこう解説する。「女性ホルモンにはアルコールの分解機能を低下させる働きがある」。
たとえば、月経前など女性ホルモンの分泌が活発になる時期には、いつもよりアルコールに弱い状態になる。そんなときに大酒を飲むと、悪酔いすることがある。
また、若いころは飲めなかったのに30代から飲めるようになったり、アルコールに強くなったりする女性がいる。これは加齢により女性ホルモンが減少したことによりアルコールの分解能力がアップするためという。
同サイトでは、飲めるようになったからと酒量を増やすのはたいへん危険と警鐘を鳴らす。しかも、「女性ホルモンの減少で骨の老化が起こりやすくなり、さらにアルコールが骨の老化を促進する」。つまり骨密度にも影響するわけだ。
過度なアルコールと骨の関係は整形外科医も指摘している。飲み過ぎると胃腸でカルシウムが吸収されにくくなり、しかもアルコールの利尿作用でカルシウムは尿と一緒に排出されてしまう。
その結果、骨量に影響し、骨の老化、ひいては骨粗鬆症の引き金になりかねないというのだ。
過度なアルコールと骨の関係は、整形外科でも指摘している。過剰のアルコールを摂取すると胃腸でカルシウムが吸収されにくくなり、しかもアルコールの利尿作用で尿と一緒にカルシウムが排出されてしまう。その結果、骨量に影響し、骨の老化やひいては骨粗鬆症の引き金になりかねない。
「ウーマンズヘルス」は妊娠中のアルコールはもっと危険と喚起を促す。アルコールが肝臓で分解される時、二日酔いなどを引き起こすアセトアルデヒトという有害物質に変化する。
妊娠中はアセトアルデヒドが母体から胎児に伝わり、脳や内臓にさまざまな影響を及ぼす「胎児性アルコール症候群」を引き起こす可能性があると啓発している。