自殺を予防するとされる「TALKの法則」とは?
そして上記の回答結果に、自殺リスクが高い人の自殺を予防するとされる「TALKの法則」を対置してみると解決の糸口がやや見えなくもない。TALKとは「Tell」「Ask」「Listen」「Keep safe」の頭文字をとった合成語で、要は周囲の人間がとるべき態度の要点を意味している。
①Tell=心配している旨をきちんとコトバにして本人に伝えること。
②Ask=自殺が視野にあるか、「死にたい」と思っているか、率直に尋ねることを厭わない。
③Listen=聞き役に徹し、本人の気持ちを一心に受けとめること。
④Keep safe=危険状態を察したら、本人の安全を最優先し、適切な対処を施すこと。
前掲「希死念慮」は、うつ病の大きな特徴とさせる。厚労省が自殺対策の中核に「うつ病対策」を据えているとおり、自殺とうつ病の関係は深い。
あるいは、うつ病の人に見られる自殺の兆候現象を指す「事故傾性(accident proneness)」という言葉がある。なにやら難儀な用語にも想えるが、その特徴は下記に列挙のごとくわかりやすい。
ギャンブルに溺れる、多額の借金を行なう、暴力事件を起こす、自暴自棄傾向が目立つ、忽然と失踪、無断欠勤する……。あるいは、最近クルマの運転や日常の言動が荒くなっている、性的な逸脱行為を耳にした等も「事故傾性」の代表的な特徴だ。
日本では、ゴールデンウィーク明けは自殺が急増する季節として知られている。いわゆる「五月病」は大半が一時的な抑うつ気分に属し、病気には当たらないとされている。だが、その症状が継続するような場合は、精神疾患が潜んでいる可能性も否めない。
家族や友人、職場の同僚や先輩が、どうもGW明けからおかしい……。そう感じたら、「TALKの法則」や「事故傾性」の項を思い浮かべてみるのも一考だろう。
(文=編集部)