電通の過労自殺から学ぶ<負のスパイラル>の心理~「死ぬくらいなら辞めれば」ができない理由

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 もうすぐ年の瀬の足音が聞こえてくる。年末年始に向けて、本格的に忙しくなる業界や職種は少なくない。何かと付き合いごとも増えて、オーバーワークに陥りやすい時期だ。

 このほど厚生労働省が発表した調査によると、過労によってうつ病などの精神疾患にかかるのは30代がもっとも多く、労災が認められたケースの3割を占めることが判明した。

 折しも10月7日、三田労働基準監督署が、月間100時間以上の残業をしていた大手広告代理店・電通の元社員・高橋まつりさん(享年24)の<過労自殺>を労災に認定した。東京労働局が、電通の立ち入り調査を実施するなど、その業務実態が注目されたばかりだ。

 まつりさんは亡くなる前、SNSに「もう4時だ 体が震えるよ…」「眠りたい以外の感情を失った」「本気で死んでしまいたい」「1日の睡眠時間2時間はレベル高すぎる」「鬱だ」などと書き込んでいた。

 社会的な批判も浴びたこの事件によって、電通は10月24日から東京港区の本社ビルで、午後10時の社内全館一斉消灯をスタートし、業務改善に努めていると報じられた。

<深夜残業から早朝残業になっただけ>の声も

 ところが一部のメディアは、翌日の早朝5時に社内の照明が多数灯ったことを報じ、<深夜残業から早朝残業になっただけ>と指摘。社員の負担を軽減する、抜本的な改善策となるのかは、疑問の余地がありそうだ。

 最近では、労働基準法対策として残業を禁ずる企業も増えきた。電通のように、消灯・閉館を実践する社もある。

 だが果たしてこの策は、本当に社員の負担軽減に結びついているのだろうか。仕事量は減らずに短くなった勤務時間では、残った仕事を持ち帰ったり、早朝出勤でやりくりしたり……。

 むしろ、会社で作業できなくなり、腰を落ち着けて仕事に取り組めず、心身の負担を増やしている側面もあるようだ。

バナー1b.jpeg
HIVも予防できる 知っておくべき性感染症の検査と治療&予防法
世界的に増加する性感染症の実態 後編 あおぞらクリニック新橋院内田千秋院長

前編『コロナだけじゃない。世界中で毎年新たに3億7000万人超の性感染症』

毎年世界中で3億7000万人超の感染者があると言われる性感染症。しかも増加の傾向にある。性感染症専門のクリニックとしてその予防、検査、治療に取り組む内田千秋院長にお話を伺った。

nobiletin_amino_plus_bannar_300.jpg
Doctors marche アンダカシー
Doctors marche

あおぞらクリニック新橋院院長。1967年、大阪市…

内田千秋

(医)スターセルアライアンス スタークリニック …

竹島昌栄

ジャーナリスト、一般社団法人日本サプリメント協会…

後藤典子