連載「死の真実が〈生〉を処方する」第36回

孤独死は若い人ほど発見が遅れる! 最も多い通報は「異臭がする」

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「孤独死」は若い人ほど発見が遅れる!死亡時の平均年齢は「男性63歳」「女性72歳」と10歳以上の差がの画像1

「孤独死」の現状は?(depositphotos.com)

 高齢化社会が急速に進み、今や国民の4人に1人以上が65歳以上です。また、核家族化が進んだために、「一人暮らしの高齢者」も増えています。それに伴う高齢者の「孤独死」の現状について今回は考えてみます。

 私たちは、単身世帯者が自宅で死亡したケースを「孤独死」と呼んでいますが、その定義を調べたものの、法令や行政の文書で定められたものはありませんでした。

 見つかったのは、内閣府が平成22(2010)年に発行した『高齢者白書』の中の記載で、「誰にも看取られることなく息を引き取り、その後、相当期間放置されるような悲惨な孤立死」というもの。

 ここで私が注目したのは、「相当期間放置される」という表現です。「しばらく顔を見ない」とか「新聞が溜まっている」という段階で、死後、何日かが経過しているでしょう。そして、「異臭がする」などの通報で、警察官によって発見されるケースもあります。

 警察官が発見した時には、死体の腐敗が進行していることも多いはず。ですから、「相当期間放置される」という表現になったのかと思います。また、このような孤独死は、誰にも看取られないという寂しさに加え、変わり果てた姿になりますから、先の白書に記されていたように「悲惨」という言葉が適切かもしれません。

50代の孤独死発見が遅れるのは「気にも留めてもらえない」?

 東京23区は監察医制度が施行されているので、「変死」はすべて東京都監察医務院の監察医(死体検案を専門に行う医師)が扱います。

 某年、都内のある施設で扱った変死に占める孤独死の割合は、男性が7%、女性が3.9%でした。平均年齢は、男性が63歳、女性が72歳と、その地区の平均死亡年齢(男性が74歳、女性が80歳)よりも低いことがわかりました。

 死因は病死・自然死がほとんどですが、なかには死後変化によって判定できないものもありました。

 また、大阪府監察医事務所の調査によると、孤独死が発見される平均日数は、男性が6.8日、女性が2.4日。男性のほうがなかなか発見されないようです。年齢群別に発見までの経過日数を調べると、90歳以上は約4日、70代は約5日でしたが、50代は約9日もかかっています。

 高齢になると周囲の人や家族も心配してくれるので発見が早く、50代は気にも留めてもらえないということなのかもしれません。

 発見に至ったきっかけを見て見ましょう。日頃から介護を受けており、介護者が訪れたときに発見したという例が最も早く発見されるようで、死後から平均で2.7日でした。

 発見件数では「異臭がする」という通報によるものが最も多く、死後から平均で14.8日でした。

一杉正仁(ひとすぎ・まさひと)

滋賀医科大学社会医学講座(法医学)教授、京都府立医科大学客員教授、東京都市大学客員教授。社会医学系指導医・専門医、日本法医学会指導医・認定医、専門は外因死の予防医学、交通外傷分析、血栓症突然死の病態解析。東京慈恵会医科大学卒業後、内科医として研修。東京慈恵会医科大学大学院医学研究科博士課程(社会医学系法医学)を修了。獨協医科大学法医学講座准教授などを経て現職。1999~2014年、警視庁嘱託警察医、栃木県警察本部嘱託警察医として、数多くの司法解剖や死因究明に携わる。日本交通科学学会(副会長)、日本法医学会、日本犯罪学会(ともに評議員)、日本バイオレオロジー学会(理事)、日本医学英語教育学会(副理事長)など。

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