連載第9回 いつかは自分も……他人事ではない“男の介護”

変わる家族のかたち~「子どもがいる=老後は安心」は昔話!? 一人暮らしの高齢者が急増!

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 日本の家族変容が激しい。日本の家族類型は、戦前の大規模家族から1960年代の高度経済成長期を経て、夫婦を中心とした「核家族」へと劇的に移行し、80年代にはほぼ完成した。

 とはいえ、65歳以上の高齢者がいる家族に限れば、子どもや孫と暮らす人が半数近くいたという事実が、86年の厚生労働省の国民生活基礎調査で明らかだ。

 親世代が元気なうちは別世帯で暮らす。だが、親が寝たきりや認知症、一人暮らしなどになった場合、子どもは帰郷あるいは呼び寄せられ、同居して親の面倒をみる。

 介護保険などの支援策もなく、介護の社会化という理念も合意されていなかった時代には、家族が介護することはごく当然とされていた。

 子どもと一緒に暮らすことは、個別家族の自己防衛として機能した。社会のセーフティネットであった。「子どもがいると安心」「子どもと暮らせて幸せ」と、誰もが信じて疑わなかった。

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 しかし、そんな時代は終わりを告げた。(表)「65歳以上の高齢者のいる世帯の変化」を見てほしい。

 1986(昭和61)年と2013(平成25)年の数字を並べたが、三世代世帯は44.8%から13.2%に激減、子どもと一緒に暮らす高齢者はまったくの少数派だ。

 増えているのは、夫婦のみの世帯(18.2%→31.1%)、単独世帯(13.1%→25.6%)、親と未婚の子のみの世帯(11.1%→19.8%)だ。65歳以上の親なら、未婚とはいえ30~50代の子どもに違いない。

 親の介護が始まれば、未婚の子どもの暮らしやその人生に多大な影響を与えることが容易に予測できる。「子どもと同居」がセーフティネットの一言で語れなくなっている。

一人暮らしが当たり前になった高齢者

 

 2010年の国勢調査でも、家族の変化は明らかだ。夫婦のみの世帯19.8%、夫婦と子どもからなる世帯17.9%、そして単身世帯は32.4%。つまり、一人で暮らす世帯が3割を超えて最も多い家族類型になったのだ。

65歳以上の人口が3000万人に届こうとしているなかでのこの現象。単独世帯を増やしているのは、核家族を卒業した高齢世代なのだ。

 親を一人暮らしさせておくと、子どもは「親不孝」と誹られ、親は「子どもと協調できないわがまま」とレッテルを貼られたこともあった。だが、そんな不当な扱いは過去のもの。むしろ、高齢期の暮らしの主流は「おひとり様」だ。 

 だから、社会デザインは時代遅れとなって制度疲労を起こしている。昨年8月に公表された「国民生活に関する世論調査」(内閣府)では、3人に2人が生活不安を抱えている。その一番の悩みが、「老後の生活設計」であり「自分と家族の健康」というのは一つの証左だ。

 介護問題との深い接点を持つ暮らしに、老いも若きも不安になっている。人生の後半期、介護が必要になっても安心できる「介護の社会化」を求める声である。介護のインフラ整備は、老後の安心の何よりの保障だ。


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津止正敏(つどめ まさとし)
立命館大学産業社会学部教授。1953年鹿児島県生まれ。立命館大学大学院社会学研究科修士課程修了。京都市社会福祉協議会に20年勤務(地域副支部長・ボランティア情報センター歴任)後、2001年より現職。専門は地域福祉論。「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」事務局長。著書『ケアメンを生きる--男性介護者100万人へのエール--』、主編著『男性介護者白書--家族介護者支援への提言--』『ボランティアの臨床社会学--あいまいさに潜む「未来」--』などがある。
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津止正敏(つどめ・まさとし)

立命館大学産業社会学部教授。1953年、鹿児島県生まれ。立命館大学大学院社会学研究科修士課程修了。京都市社会福祉協議会に20年勤務(地域副支部長・ボランティア情報センター歴任)後、2001年より現職。専門は地域福祉論。「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」事務局長。著書『ケアメンを生きる--男性介護者100万人へのエール--』、主編著『男性介護者白書--家族介護者支援への提言--』『ボランティアの臨床社会学--あいまいさに潜む「未来」--』などがある。

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