中村祐輔のシカゴ便り14

がんの10年治癒率をあと20%高めるためのアクション~がん患者の半数が治癒可能になる時代②

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
がんの10年治癒率をあと20%高めるためのアクション~がん患者の半数が治癒可能になる時代②の画像1

有望視されるがん検査とは?(depositphotos.com)

 がんの治癒には早期発見、早期治療が重要だが、肝臓がんや膵がんのようにステージ1でも10年生存率が30%のがんもある。これらのがんに対しては、もっともっと研究が必要だ。それにしても、レストランでの受動喫煙を減らすことに反対する人たちや子宮頸がんワクチンに反対する人たちなど、日本のがん予防対策はかなり大変だ。

 がん死亡を減らすには不可欠なのだが、利権や感情論が予防を難しくしている。科学的なリテラシーの不足が、客観的な議論の妨げとなっている。ワクチンの場合、社会全体の利益と個人の不利益の対立構造になっているが、前者の利益が後者に比して歴然と大きい場合、国は全体の利益を優先しつつ、個人の不利益を科学的に最小限にしていく責任があるのだが、こんなまともな議論さえできないのが現状だ。

がん全体の10年治癒率を20%高めるために

 また、がん全体の10年治癒率をあと20%高めるには、これらの予防対策に加え、いくつかの具体的なアクションが必要だと思う。そのアクション項目を下記に列記した。

がんの10年治癒率をあと20%高めるためのアクション~がん患者の半数が治癒可能になる時代②の画像2

 しかし、これらのアクションは、個々の研究者の目標ではなく、国が組織として取り組むべき課題だ。数百万円から数千万円の研究費ではなく、国の仕組みとして確立するために、数百億円―数千億円単位で進めていくべき課題だ。

中村祐輔(なかむら・ゆうすけ)

シカゴ大学医学部内科・外科教授兼個別化医療センター副センター長。1977年、大阪大学医学部卒業。大阪大学医学部付属病院外科ならびに関連施設での外科勤務を経て、84〜89年、ユタ大学ハワードヒューズ研究所研究員、医学部人類遺伝学教室助教授。89〜94年、(財)癌研究会癌研究所生化学部長。94年、東京大学医科学研究所分子病態研究施設教授。95〜2011年、同研究所ヒトゲノム解析センター長。2005〜2010年、理化学研究所ゲノム医科学研究センター長(併任)。2011年、内閣官房参与内閣官房医療イノベーション推進室長を経て、2012年4月より現職。

中村祐輔の記事一覧

中村祐輔
美容界で異彩を放つ「炭酸ジェルパック」とは?細胞からのアンチエイジングとケアが大切
インタビュー「炭酸美容とはなにか?」後編:メディオン美容皮膚クリニック院長・日置正人氏

前編『炭酸ケアの第一人者、褥創の治療経験から生まれた「炭酸ジェルパック」』

美容の世界でも異彩を放つっている「炭酸ジェルパック」。 皮膚科・内科の医師として長年、炭酸の医療的な研究に携わり、その研究の成果として画期的な美容素材「炭酸ジェル」を開発した日置正人医師に、その開発の過程や効果について聞いた。

Doctors marche アンダカシー
Doctors marche

医療法人社団 三喜会 理事長、鶴巻温泉病院院長。…

鈴木龍太

フリージャーナリスト。1949年、東京都生れ。法…

郡司和夫

小笠原記念札幌病院腎臓内科。日本中毒学会認定クリ…

横山隆