花粉症はまず<自分のタイプ>を知って対策~果物や野菜アレルギーとの関係にも注意を

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花粉症と食物アレルギー

 また花粉症に関連した最近の話題としては「花粉・果物アレルギー症候群」があります。スムージーなどの生の野菜や果物を食べた直後に、口の中や喉がかゆくなったことはありませんか。この症状は花粉症と深い関連があり、花粉症をきっかけに子どもの頃はなかった食物アレルギーを起こす人が増えています。

 果物や野菜のアレルギーがある人の多くは花粉症を持っています。食物に含まれているアレルギーの原因物質が、花粉症をひきおこす花粉の原因物質と構造が似ているために、花粉へのアレルギー反応だけでなく果物に対してアレルギーを起こすからです。

 花粉症と果物の組み合わせはさまざまで、たとえばハンノキやシラカバの花粉症の人はリンゴやモモ、サクランボなどのバラ科の果物や、にんじんや栗などの多くの食べ物のアレルギーが出ることがあります。豆乳にも反応します。またブタクサの花粉症ではメロンやスイカなどでアレルギーが出てきます。

 花粉の飛散する時期に口腔アレルギーが発症したり、症状が強くなったりしやすいのですが、関連性に気づいていない人も多いようです。日常的に食卓に上がる食べ物が多いので注意が必要です。

 食物アレルギーが出る場合の対処法は、症状を起こす果物や野菜などを避けることと、関連する花粉を避ける対策をすることが基本です。そのためにも自分がどの花粉や食物に対してアレルギーが出ているのか理解しておいたほうがよいでしょう。

 検査する項目にもよりますが、外来での採血検査は2000~数千円の負担 (保険適応の場合)で検査できます。検査数値だけでなく普段の症状と照らしあわせながらアレルギーの原因を特定していきます。自分の状況を確認することで、どの時期に花粉を避けて、どのような食物に気をつけていけばいいのか、自分で対処することができます。

 花粉症は、怪我や高血圧などの病気と違い、どうしても病院に行かなければいけないという疾患ではないですし、市販薬も揃っているので、わざわざ病院には行かないという人も多いかもしれません。

 しかし、自分の花粉症をきちんと知ることで、うまくつきあっていくことはできます。普段通りの日常生活を維持するためにも、きちんと診断をつけて症状をしっかり抑えていくことが大切です。

治療開始はいつ

 できれば、花粉飛散前あるいは早期の段階で治療を開始したほうがよいでしょう。症状開始のスイッチが入りにくくなるため発症を遅らせることができ、また発症しても症状のピークが軽くて済むと言われています。対症療法ですから、対応する花粉が飛散している期間は治療を続けていくようにしています。

 治療には抗ヒスタミン剤と言われる薬を使います。鼻炎の薬の眠気を心配される方もいますが、たとえばアレグラ錠やアレジオン錠は、病院の処方薬としても市販薬としても出ている薬で「眠くなりにくい」部類の薬です。

 病院で待つ時間がない、あるいは、とにかく早く症状を抑えたいということであれば、薬局で購入して試してみてもよいでしょう。

 目薬や点鼻薬の併用も有効ですが注意が必要です。血管収縮薬は、目の充血や鼻づまりをとる即効性のある薬でとても効果が高いですが、長期間使うと逆に症状を悪化させることがあります。

 市販薬で症状がコントロールできていないときは医療機関で相談しましょう。鼻づまりや、症状が強いときなどは、複数の内服薬やステロイドの点鼻剤、漢方薬などを組み合わせることがあります。

 花粉症というと耳鼻咽喉科や眼科と思うかもしれませんが、内科でも処方することはできます。また目や皮膚の症状がひどい場合には、眼科や皮膚科で相談されることを考えた方がよいでしょう。

抗原特異的減感作療法

 スギ花粉症を根本的に抑えたい方には、舌下投与タイプの免疫療法があります。3年以上継続する必要がありますが、スギ花粉の成分を少しずつ投与して体に慣らしていくことで花粉症を起こさなくさせるという治療です。

 過敏反応を起こすことがあるので、治療開始は5月以降の花粉が飛んでいない時期に限られます。症状改善や薬を減らしたり止めたりするのに有効と考えられていますので、スギ花粉症に悩んでいる方は医療機関に相談してみる価値はあります。

濱木珠恵(はまき・たまえ)
医療法人社団鉄医会ナビタスクリニック新宿院長
1997年 北海道大学医学部卒業
専門分野:内科・血液内科・旅行医学
資格:日本内科学会認定内科医
日本血液学会認定血液専門医

「MRIC」2017年2月22日より転載 

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