男性よりも優れた女性の「エピソード記憶」
Davachi氏らは次のように述べている。「出来事の記憶というものは、私たちが経験している外界の成り行きだけではなくて、私たち自身の内的状態にも強い影響を受けるものである。しかも、この内的状態は持続し、その後の経験に影響を及ぼす可能性が高いようだ」
そして、次のように明言する。
「いわゆる当たり障りのない『非感情的な経験』の記憶は、感情的な出来事のあとで遭遇した場合により一層記憶に残ることが今回の研究でも解った」
イベント(=事象)の記憶は「エピソード記憶(episodic memory)」とも呼ばれ、その時間や場所や当時の感情も含まれる。また、女性のエピソード記憶は総じて男性よりも優れている傾向にあるともいわれる。
男性陣が出逢い記念日や初デート記念日、求愛記念日や結婚記念日を失念するというネタが相変わらずドラマやCMの設定に用いられるのもその証しか。
「今回の研究結果は、私たちの認知(=思考)が先行する経験に思いのほか大きく影響され、とりわけ感情にかかわる脳の状態が長時間持続する可能性を秘めていることを明らかにした」(Davachi氏)
いわば感情面の「二日酔い」状態が記憶の染み方を促進し、その前後の記憶の濃淡までをも左右する――。
さて、この作用や効果を何かに上手く利用できそうな気がしないでもないが、バカボンのパパの名言「忘れようとしても思い出せない」ほどの些細な思いつきにすぎないだろうから、忘れることにしよう。
(文=編集部)