シリーズ「病名だけが知っている脳科学の謎と不思議」第7回

サヴァン症候群の超絶記憶力は障害か才能か? 人の「脳」に眠っている驚異の潜在能力

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サヴァン症候群には驚異の記憶力を持つ人も(shutterstock.com)

 9000冊の本の内容をすべて覚える。モーツァルトの曲をいちど聞いただけで完璧に弾ける。数十年後の何月何日は何曜日かを言い当てる。際限もなくひたすら詩を書く。1日19時間も絵を描き続ける。数カ国語を自由に読み書き話す……。

 サヴァン症候群は、人知を遥かに超えた卓抜した才分を持ちながらも、QOL(生活の質)やADL(日常生活自立度)が著しく阻害されるのが特徴だ。

 日本人のサヴァン症候群といえば、漂流画家の山下清が有名だ。見た景観や印象をそのまま映像として記録するカメラ・アイの能力があったため、旅先の記憶を障害者施設や実家に持ち帰り、絵を描き起こした。また、2012年にTBS系でオンエアされた『ATARU』はサヴァン症候群がテーマのドラマ。中居正広さん扮するチョコザイ君こと猪口在(あたる)は、サヴァン症候群の特殊な嗅覚と鑑識眼で犯罪事件を次々と解決した。

語源はイディオ・サヴァン(賢い白痴)

 その発見は、1887年、イギリスのロンドン――。眼科医ジョン・ランドン・ダウンの診察室に、ある患者が訪れた。名を仮にジョーンズとしよう。ジョーンズは年齢不詳で、トラホームか白内障か飛蚊症か、愁訴も不明だ。

 しかし、ダウン医師は度胆を抜かれる。驚いたことに、何冊もの書籍をいちど読むだけですべてを覚える。さらに驚いたことに、何と逆からも読み上げる。ジョーンズは並外れた天賦の神業を持って生まれのだ。

 ダウン医師は、ジョーンズの奇才はイディオ・サヴァン(idiot savant=賢い白痴)ではないかと考える。フランス語で、イディオは「白痴」、サヴァンは「賢い」の意味だ。だが、「白痴」が差別的なニュアンスを臭わせるため、ダウン医師はサヴァン症候群と命名した。

難治性むちうち症からなぜ多くの不定愁訴がおきてしまうのか?
難治性のむちうち症を改善 後編 東京脳神経センター 整形外科・脊椎外科部長 川口浩医師

前編『画像診断できない難治性のむちうち症を独自の治療法で改善』

原因不明で治療法がなく多くの患者さんが回復をあきらめていた難治性のむちうち症。東京脳神経センターで進む独自の治療で、めまい、動機、吐き気などの全身症状やうつ症状などの不定愁訴が大幅に改善しているという。その具体的な成果についてお話を伺った。

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