「痛いの痛いのとんでいけー」は医学的な根拠アリ~ <手当て>で痛みが和らぐのはなぜ?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
89364730.jpg

「痛いの痛いのとんでいけー」は世界共通(shutterstock.com)

 「手当て」という言葉がある。「手を当てる」ことで痛みが和らいだり、楽になったりするという、経験は誰もがあるかもしれない。この「手当て」、実は医学的にも説明できることなのだ。

 これは、医療・医学に携わる人なら一度は学んだことがある「ゲートコントール理論」が説明の鍵となる。ゲートコントール理論を簡単に説明すると次のようになる――。

 人の身体にはたくさんの神経線維が通っていて、それぞれ、痛みを感じるもの、触っている感覚の神経、温度を感じる神経などに分かれている。たとえば、「痛み」は<痛みを感じる神経線維>が刺激されることで起きる現象だ。

 そこに、違う刺激を与えると、別の神経線維が活性化する。具体的には、「触っている」ことを感じる神経線維を刺激するのだ。すると、「痛み」の感覚よりも「触っている」感覚の神経線維がより働くことで、「痛み」が感じづらくなるわけである。

 「痛み」の感覚に、「触れる」感覚を覆い被せるようなイメージを持つとわかりやすい。

 なぜ、このようなことが起こるかというと、痛みを感じるのは細い神経とされており、触っていることを感じる神経はより太い神経線維なのだ。太い神経線維が刺激されると、細い神経線維が働きづらくなる。

 つまり、「痛い」感覚よりも「触る」ことでこちらの神経線維が優位に働き、結果的に痛みを感じづらくなる(痛みが和らぐ)という理論である。

 これがゲート(扉)を開けたり閉めたりするようにコントロールすることに似ているから、「ゲートコントール理論」と名付けられたと言われている。

三木貴弘(みき・たかひろ)

理学療法士。日本で数年勤務した後、豪・Curtin大学に留学。オーストラリアで最新の理学療法を学ぶ。2014年に帰国。現在は、医療機関(札幌市)にて理学療法士として勤務。一般の人に対して、正しい医療知識をわかりやすく伝えるために執筆活動にも力を入れている。お問い合わせ、執筆依頼はcontact.mikitaka@gmail.comまで。

三木貴弘の記事一覧

三木貴弘
がんになってもあきらめない妊活・卵巣凍結 摘出に約60万円、保管は年間10万円
インタビュー「がんでも妊娠をあきらめない・卵巣凍結」後編・京野廣一医師

がん患者への抗がん剤による化学療法は妊孕性(妊娠のしやすさ)を低下させる。がんにより妊娠が難しくなる患者を支援するため、2016年4月に「医療法人社団レディースクリニック京野」が、治療前に卵巣を凍結して保存しておく「HOPE(日本卵巣組織凍結保存センター)」を設立すると発表した――。医療法人社団レディースクリニック京野理事長の京野廣一医師に卵巣凍結の仕組みについて訊いた。
前編『「がん」になっても妊娠・出産をあきらめたくない女性のための「卵巣凍結」とは?』

2017年4月より、はるひ呼吸器病院(愛知県)病…

堤寛

理学療法士。日本で数年勤務した後、豪・Curti…

三木貴弘

近畿大学理工学部生命科学科ゲノム情報神経学准教授…

西郷和真