連載「“国民病”腰痛の8割以上はなぜ治らないのか」第22回

<人をダメにする>クッションやソファは<腰をダメにする>!? 同じ姿勢が体に与えるダメージ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
509560417.jpg

楽な姿勢から立ち上がる瞬間が危険(shutterstock.com)

 ライフスタイルの変化に伴い、人間は座っている時間が年々長くなってきている。日本人も欧米化されたライフスタイルに伴い、椅子やソファに座る機会も増えた。

 そこで<座る>心地よさや快適さを追求した、さまざまな商品が開発・販売されている。ところが、座り心地のよさは人を非活動的にもする。

 巷で人気を博しているビーズクッションでできたクッションやソファなどは、快適すぎて<人をダメにする>というキャッチコピーが流布しているほど。極小のビーズが詰め込まれたクッションが変形して体を丸ごと包み込む。

 初めて体験する、そのフィット感に驚いた人は多いだろう。一度腰かけて身を預けると、その心地よさに身をゆだねたまま動けなくなる……。何もする気が起きなくなって<人をダメにする>のである。

 だが、その心地よさとは裏腹に、カラダへの負担を考えたことがあるだろうか。この<心地よさ>が、腰痛の原因になっているかもしれないのだ。

 座りごごちが良いソファの要素のひとつに、柔らかい座面がある。座ると体全体が沈みこみ、リラックスしたまま、そこから動きたくなくなるようなソファ――。

 一見、理想的なソファだが、そこで読書やゲーム、テレビや映画などを視聴するなど、長時間座り続けると、腰痛を招く危険性がある。

<同じ姿勢>が腰に悪影響を与える

 まず一つめに、座っている形にある。座面が柔らかいソファというのは、お尻が沈み込むので、座った時に、膝よりもお尻が低い位置になってしまう。

 その姿勢を少し具体的に説明すると、膝よりお尻が低い位置まで沈むことで、骨盤が後ろに倒れて、さらに腰部が丸まるような形になる。これは、腰に負担をかけ続けている姿勢なのだ。

 二つめは、<同じ姿勢>を取り続けている点だ。以前にも、同じ姿勢を続けることは、腰によってよくないことである。

 以前にも、「『理想的な姿勢』は存在しない~『同じ姿勢を続けること』が病気のリスクに」と題して警鐘を鳴らした。

 <人をダメにする>心地よさにおぼれて、同じ姿勢を取り続けてしまうということは、筋肉を使わない楽な姿勢なのだ(だからこそ心地よく感じる)。

 そこからいきなり立ち上がろうとすると、筋肉を使っていない状態から、急に筋肉を使うことになる。それはあたかも、起床してすぐに全力で走るようなものだ。当然、そのときにケガ(ギックリ腰)を生じる危険は高くなる。ギックリ腰は、<何気ない動作>の時に起こるものだ。

 これらの理由で、<心地よいソファ>というのは魅力的だが、腰には好ましくないことがあることを注意しておきたい。当然、日常的にそのような姿勢や動作を行う機会が多いというのは、それだけ腰を痛める危険性が増えることにつながる。

<治療の中断>を減らした「オンライン診療」~会社やカフェからアクセスする患者たち
インタビュー「自宅や職場からの遠隔診察を可能に」第3回:新六本木クリニック・来田誠院長

第1回:<治療の中断>を減らした「オンライン診療」~会社やカフェからアクセスする患者たち
第2回:通院不要の「オンライン診療」~支払いはクレジット決済、薬は院外処方箋を自宅に配送
第3回:<治療の中断>を減らした「オンライン診療」~会社やカフェからアクセスする患者たち
 「5大疾病」のひとつとされ、もはや誰でもかかりうる病気となった精神疾患。その治療は長い期間にわたることが多いため、通院には負担がかかるのが常だった――。そんな精神科の診療をオンラインで行うことを可能にし、利便性を高めたのが新六本木クリニックだ。

理学療法士。日本で理学療法士として勤務した後、豪…

三木貴弘

大阪大学大学院言語文化研究科教授。米国ウィスコン…

杉田米行

精神保健福祉士。フリージャーナリスト。1977年…

里中高志