>  >  > 「がん治療法」をAI(人工知能)が選ぶ時代!
シリーズ「AIと医療イノベーション」第7回

「がん治療法」をAI(人工知能)が選ぶ時代!シカゴ大学の中村祐輔教授らが2年以内に実用化

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AIとスパコンの医療にもたらす進化とは?(shutterstock.com)

読売新聞(10月3日) によれば、「がん」の遺伝子研究で世界的に著名なシカゴ大学医学部内科・外科の中村祐輔教授(個別化医療センター副センター長)と情報解析企業FRONTEOの共同開発チームは、AI(人工知能)を活用し、がん患者に適した治療法を選んだり、患者が治療の悩みを解決できる「がん診断・治療サービス」を2年以内に起ち上げる計画を発表した。

AIが「がん」を治療する時代が来た!

 中村教授によれば、FRONTEOが開発したAIは、エキスパートシステムを応用し、がん専門医の経験や判断の基準を推論しながら、膨大な医学論文や患者の遺伝情報を効率的に学習するので、医師は最適な治療法を選択し、患者に適確にアドバイスできるという。

 このサービスの最大のメリットは、自然言語処理の機能をもつAIが患者の文章や文体の特徴から興味や関心を読み取るので、患者は自宅にいながら、知りたい疾患や薬の最新情報に無料でアクセスできる点だ。

 しかも、AIが学習する医学論文は、米国の公的データベースが2600万件以上、がん関連のデータベースが毎年20万件以上と膨大なため、専門医でも検索できない最新・最適かつ高精度な診断情報をだれでも、いつでも情報検索できるアドバンテージは大きい。

 中村教授によると、正しい情報が得られず、適切な治療を受けられない患者は多いため、患者が後悔しない治療を受けられる仕組みを構築したいと話している。AIが「がんを治療」する時代は、もうそこまで来ているのだ。

AIとスパコンが医療にもたらす衝撃的なイノベーション

 コンピュータの知能が人間に追いつき、追い越すシンギュラリティ(技術的特異点)が、早ければ2030年頃、遅くとも2045年までに訪れるとされている。がん治療の領域に留まらず、さまざまな医療領域でAIの開発が白熱化し、ますます加速している。

 たとえば、AIとスーパーコンピュータ(スパコン)が医療にもたらす衝撃的なイノベーションだ。

 日経デジタルヘルス(2016年9月16日)によれば、医療用画像処理システムやスパコン開発の起業家として知られる齊藤元章氏(PEZY Computing代表取締役社長)は、昨年9月に千葉・幕張メッセで開かれた「JASIS 2016」で「次世代人工知能と次世代スパコンが医療と生命科学にもたらす破壊的革新の可能性」をテーマに特別講演を行い、注目された。

 齊藤氏は、液浸冷却と呼ぶ冷却方式を導入したスパコンを開発するベンチャーや、スパコン用の積層メモリを開発するベンチャーを立ち上げた後、AI専用のプロセッサを開発する「Deep Insights」、がんの遺伝情報を診断・治療・創薬に活用するシステムを開発する「Infinite Curation」も設立した。

 齊藤氏は、AIとスパコンの進化は、2030~2045年に向かって、医療や生命科学の領域で人類史上に特筆すべき革命的事象を立て続けに巻き起こすと指摘する。たとえば、象徴的な事件は、2016年3月に起きた。古くから使われてきた糖尿病治療薬のメトホルミンに、消化器系がんへの効果の他、老化を抑える作用がある事実がAIとスパコンによって明らかにされた。

 つまり、メトホルミンが病気や老化に効果を別々に発揮しているのではなく、メトホルミンは、糖尿病・消化器系がん・老化に共通する「1対 n」、「n対1」、「n対n」の未知の相関関係を介在している可能性がある。このようにAIとスパコンが進化すればするほど、医療や生命科学の固定概念が根底から覆る事態を招くだろう。

中村祐輔(なかむら・ゆうすけ)

シカゴ大学医学部内科・外科教授兼個別化医療センター副センター長。1977年、大阪大学医学部卒業。大阪大学医学部付属病院外科ならびに関連施設での外科勤務を経て、84〜89年、ユタ大学ハワードヒューズ研究所研究員、医学部人類遺伝学教室助教授。89〜94年、(財)癌研究会癌研究所生化学部長。94年、東京大学医科学研究所分子病態研究施設教授。95〜2011年、同研究所ヒトゲノム解析センター長。2005〜2010年、理化学研究所ゲノム医科学研究センター長(併任)。2011年、内閣官房参与内閣官房医療イノベーション推進室長を経て、2012年4月より現職。

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