連載「眼病平癒のエビデンス」第15回

若年層に急増する「スマホ老眼」とは? ブルーライトの画面を見続ける「過矯正」と共通点も

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スマホ老眼が若年層に急増中(shutterstock.com)

 いわゆる「老眼」は、中高年者が近くの物が見づらくなる年齢的な視機能の変化ですが、最近、20代、30代と言った若年者において、「書類の文字が見づらい」「手元にピントが合わない」など、老眼と似た症状を訴える方がいます。このような症状は、長時間のスマートフォンの使用と関連すると考えられ、「スマホ老眼」と呼ばれることが多いようです。

 今回は「スマホ老眼」の原理と対策について解説いたします。

調節痙攣(麻痺)さらに進行すると「スマホ老眼」

 人間の目は、物を見た時に、カメラのフィルムに相当する網膜に焦点(ピント)が合うと映像を認識します。しかも、生活の場面に応じて、常に距離の異なる物体にピントを合わせる必要があります。この目的の物にピント合わせをする機能を「調節力」と言います。

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図1

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図2

 この調節力に大きく関与するのは、主に虹彩(茶目)のすぐ後ろにある水晶体です。

 たとえば【図1―A】は、遠方の物を見てピントが合っている状態(網膜に焦点が結んだ状態)を表していますが、目がこのままの状態で近方を見ると、【図1―B】のように焦点は網膜より後ろにいってしまい、物はぼやけて見えます。

 そこで目は見たい距離に応じて屈折力(光線を曲げる力)を変化させ、焦点を網膜上に合わそうとします。これが調節力であり、その役割を「水晶体」とよばれる目の中にあるレンズで行っているのです。 

 つまり、近方を見る場合は、水晶体を膨らませることでより強い屈折力を得て、【図1―C】のように網膜上に焦点を合わせます。

 水晶体は、虹彩の付け根の毛様体にある筋肉(毛様体筋)を縮めたり緩めたりすることで、その厚みを変えています【図2】。水晶体を薄くする時(遠くを見るとき)は毛様体筋を緩めるだけですが、近くを見る時には毛様体筋を縮めて水晶体を厚くする必要があるので、長時間に及ぶと目は疲れるわけです。すなわち人は遠くを見ている時が、目は一番楽だということです。

 近くばかりを見ていると毛様体筋が収縮しつづけ、これを繰り返すと毛様体筋がリラックスできなくなり遠くが見えなくなることがあります。これは調節痙攣(麻痺)と呼ばれています。しかし、さらに進行すると、近くも見づらくなります。この状態が「スマホ老眼」です。

高橋現一郎(たかはし・げんいちろう)

東京慈恵会医科大学眼科学講座准教授。1986年、東京慈恵会医科大学卒業。98年、東京慈恵会医科大学眼科学教室講師、2002年、Discoveries in sight laboratory, Devers eye institute(米国)留学、2006年、東京慈恵会医科大学附属青戸病院眼科診療部長、東京慈恵会医科大学眼科学講座准教授、2012年より東京慈恵会医科大学葛飾医療センター眼科診療部長。日本眼科学会専門医・指導医、東京緑内障セミナー幹事、国際視野学会会員。厚労省「重篤副作用疾患別対応マニュアル作成委員会」委員、日本眼科手術学会理事、日本緑内障学会評議員、日本神経眼科学会評議員などを歴任。

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