連載「グローバリズムと日本の医療」第12回

朝に感染症にかかると症状が悪化! バイオロジカルクロックが狂いがちな夜勤の労働者は要注意

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バイオロジカルクロックが狂いがちな夜勤労働者は感染症に注意

 もちろんマウスでの実験なので、同じことが人間に当てはまるか否かはまだわからない。しかし、その傾向はあるようだ。

 たとえば、バイオロジカルクロックが何かの拍子に狂ってしまうと、身体が「閉じ込められた」状態となってしまい、ウィルスが繁殖しやすい状況になってしまう。

 実はこの「閉じ込められた」状態になりやすいのが、数日夜勤をすると数日休みになり、また夜勤をするという昼夜交代制の勤務者だ。このような勤務形態が常態になると、バイオロジカルクロック壊れてしまい、ウィルスに感染しやすくなる。夜勤の多い人は要注意だ。

 対策として何ができるのか。夜勤が健康に悪いというのは感覚的にわかるだろう。しかし、昼夜交代制が常態化すると身体がその状況に慣れてしまうかもしれない。それは適応というよりは、バイオロジカルクロックが壊れた状態と言える。

 できるだけ早く、日中の勤務形態になるほうが健康にはよいのだろう。少なくとも、昼夜交代制の勤務形態の人は、毎年かかさずインフルエンザワクチンを接種すべきだと言える。

 また、夜勤の人でなくても、伝染病が大流行しているいわゆる「パンデミック」の際には、日中に家でじっとしていることが生命を守る上で非常に重要なこととなる。


連載「グローバリズムと日本の医療」バックナンバー

杉田米行(すぎた・よねゆき)

大阪大学大学院言語文化研究科教授。米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。

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