連載「眼病平癒のエビデンス」第14回

緑内障患者が服用してはいけない薬は?「抗コリン作用」の副作用で失明の危険も!

この記事のキーワード : 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
2807841-2.jpg

緑内障患者が服用すると重篤な副作用が起こる薬が(shutterstock.com)

 内科で風邪薬をもらう時に、「緑内障はありませんか?」と聞かれたことはありませんか? 同様に、以下のような話を、患者さんから聞くことがあります。

 薬局で「あなたの緑内障はどの様なタイプですか?」と聞かれた。薬局で抗アレルギー薬を購入する時に「緑内障で通院中の方は、服用してもいいか眼科で確認してください」と言われた。家にあった風邪薬を飲もうとしたら「緑内障の方は主治医とご相談ください」と書いてあった。内科で「最近、緑内障があることが分かった」と伝えたら薬を変えられた。内視鏡検査を受ける時に「緑内障で通院している」と言ったら、「内視鏡検査をしてもいいか、眼科で聞いてくるように」と言われた……。さらには、内科などの先生から「○○さんは緑内障で通院中とのことですが、△△という薬を出したいのですが、大丈夫でしょうか?」という問い合わせを受けることがあります。

 薬には、病気の治療目的に沿う「主作用」と、目的に沿わない「副作用」があります。花粉症の時期に抗アレルギー薬を服用すると、鼻水やくしゃみが止まるのが「主作用」、眠くなるのが「副作用」です。

 また、薬には「禁忌」「慎重投与」と言って、ある条件の方には使えないものがあります。ある種の病気を持っている患者さん、ある種の薬を服用している患者さん、乳幼児、妊婦さんなどは使えない薬があります。薬の効能書(説明書)には「妊婦さんには慎重投与」「小児には禁忌」「○○薬との併用は禁忌」などと記載されており、守らないと重篤な副作用が起こる可能性があります。

 初めて受診した病院で、薬のアレルギーや妊娠の有無、過去の病気、治療中の病気などを聞かれるのは、この様な理由があるからです。分かる範囲内で、正確に回答する必要があります。

危険なのは閉塞隅角緑内障

 緑内障の患者さんの禁忌について詳しく解説します。

 緑内障は大きく分けて2つのタイプ、開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障があります。隅角とは目の中の水(房水)の出口のことで、その出口が広いタイプと狭いタイプがあります。薬の効能書には、単に「緑内障」としか記載されていないことが多いようですが、「禁忌」とされるタイプは、閉塞隅角緑内障の場合がほとんどです。

 「緑内障の方は禁忌・慎重投与」とされる薬は、風邪薬・抗うつ薬・抗ヒスタミン薬・心血管薬・消化管鎮痙薬・筋弛緩薬・鎮静催眠薬など多岐にわたります。この様な薬の多くは「抗コリン作用」を有しています。

 閉塞隅角緑内障の患者さんが、抗コリン作用を有する薬を服用した場合、隅角が狭くなります。すると房水が眼内から排出されずに眼内に貯留し、急激に眼圧が上がる。それを放置すると失明の可能性が高い「急性緑内障発作」を起こすことがあります。これが禁忌とされる理由です。開放隅角緑内障ではこのような発作の状態に起こりにくいため、禁忌とはされていません。

 しかし、閉塞隅角緑内障でも眼科でレーザ治療などの治療を受けてコントロールされている場合は、禁忌とならないこともあるので、眼科の担当医に確認が必要です。

 自分を守るためにも、緑内障の治療中の患者さんは、自分がどの様なタイプなのか知っておいた方がいいでしょう。開放隅角なのか、閉塞隅角なのか、風邪薬などは服用してもいいのか、眼科の担当医に確認しておきましょう。そして「開放隅角緑内障なので、他科の投薬に制限はありません」「閉塞隅角緑内障が悪化する可能性があるので、他科で薬をもらう時には申告してくださいと言われています」「閉塞隅角緑内障ですが、現在は他科の投薬に制限はありませんと言われています」などと言えるようにしておくこと。そうすれば、内科など他科の先生も安心して薬を処方できるようになります。

高橋現一郎(たかはし・げんいちろう)

東京慈恵会医科大学眼科学講座准教授。1986年、東京慈恵会医科大学卒業。98年、東京慈恵会医科大学眼科学教室講師、2002年、Discoveries in sight laboratory, Devers eye institute(米国)留学、2006年、東京慈恵会医科大学附属青戸病院眼科診療部長、東京慈恵会医科大学眼科学講座准教授、2012年より東京慈恵会医科大学葛飾医療センター眼科診療部長。日本眼科学会専門医・指導医、東京緑内障セミナー幹事、国際視野学会会員。厚労省「重篤副作用疾患別対応マニュアル作成委員会」委員、日本眼科手術学会理事、日本緑内障学会評議員、日本神経眼科学会評議員などを歴任。

高橋現一郎の記事一覧

高橋現一郎
アトピーの元凶は「スキンケアの常識」!「肌に優しい洗顔料」など存在しない
インタビュー「カウンセリングでアトピーを治す!」第2回:須階富士雄医師(芝皮フ科クリニック院長)

アトピー性皮膚炎は非常に厄介な病気である――。この不可解なアトピー性皮膚炎の原因として、患者やその家族の心の問題にいち早く着目し、治療に取り入れているのが須階富士雄医師(芝皮フ科クリニック院長)だ。第1回「アトピー性皮膚炎に心理療法を! 患者の話を聞くだけで完治したケースも」

近畿大学理工学部生命科学科ゲノム情報神経学准教授…

西郷和真

2017年4月より、はるひ呼吸器病院(愛知県)病…

堤寛

小笠原クリニック札幌病院腎臓内科。日本中毒学会認…

横山隆