連載「Universal Jintai Japan(UJJ)=人体迷宮の旅」第4回

【閲覧注意】ロシア中から奇形児や精密な人体解剖資料を集めた「クンストカメラ」を覗いてみた!

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高い保存技術で劣化を感じさせない奇形児の人体模型、画像はモザイク加工をしたもの/spoki.tvnet

 人体標本をコレクションする世界各国の博物館の中で、ムター・ミュージアムに続いて紹介すべきは、約300年もの歴史を誇る博物館の元祖「クンストカメラ」だろう。

 クンストカメラは、モスクワに次ぐロシア第二の都市サンクトペテルブルクにある。ロシア語のクンストカメラ(あるいはクンストカマー)はドイツ語の「ヴンダーカンマー(驚異の部屋)」を意味し、15世紀から18世紀に貴族たちの間で流行した世界中の珍妙なものを蒐集したコレクションのことを指す。

 現代感覚からすれば、グロテスクで悪趣味なものに見えてしまうかもしれない。しかし、クンストカメラは、当時としては最先端の医学と科学、博物学的な成果の集大成として、世界最高レベルを誇っていたものであった。

ピョートル大帝の個人コレクションをもとに創設

 もともとサンクトペテルブルクは、ピョートル大帝が、当時のヨーロッパの最先端文化を取り入れて築き上げた近代都市であり、1712年には、帝政ロシアの首都がモスクワから移転されている。現在でも「ヨーロッパで最も美しい街」といわれ、ロシアにおける「西欧に開かれた窓」とされている。

 そんなサンクトペテルブルクに、1714年、ピョートル大帝の個人コレクションをもとに創設されたクンストカメラは、ロシア近代化の象徴であり、ロシア国民の教養を底上げするための文化事業であった。1927年、ネヴァ川のほとりにバロック風の建物が完成すると、一般来場者を集めるために無料でウォッカを振る舞ったという逸話も残っているほどである。

 19世紀に入ると、増え過ぎたコレクションはいくつかの国立博物館に分割されたが、設立以来の医学標本コレクション、天球儀や実験器具、鉱物コレクションなどは残され、さらに人類学・民族学な資料の充実が図られて現代に至る。その所蔵数は200万点を超えるという。

ケロッピー前田(けろっぴー・まえだ)

身体改造ジャーナリスト。1965年、東京生まれ。千葉大学工学部卒後、白夜書房(コアマガジン)を経てフリーランスに。世界のアンダーグラウンドカルチャーを現場レポート、若者向けカルチャー誌『ブブカ』『バースト』『タトゥー・バースト』(ともに白夜書房/コアマガジン)などで活躍し、海外の身体改造の最前線を日本に紹介してきた。近年は、ハッカー、現代アート、陰謀論などのジャンルにおいても海外情報収集能力を駆使した執筆を展開している。著書『今を生き抜くための70年代オカルト』 (光文社新書) が話題に。近著に『CRAZY TRIP 今を生き抜くための“最果て"世界の旅』(三才ブックス)がある。

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