シリーズ「これが病気の正体!」第6回

【閲覧注意】ヤケドから足を切断! 糖尿病の怖さは合併症にある

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糖尿病性神経症でヤケドから切断……

 もはや国民病といえる糖尿病。年間1万3669人も糖尿病が原因で亡くなっている(厚生労働省『平成26年人口動態統計(確定数)の概況』より)。

 糖尿病は全身のあらゆる臓器に合併症が起こる。今回紹介する「糖尿病性神経症」は、ヤケドをきっかけに足の切断に至ったケースだ。糖尿病では、足の病変から壊疽に至り「切断」を余儀なくされる患者は少なくない。

 厚労省(平成26年調べ)によると、わが国の糖尿病患者は316万6000人。前回調査(平成23年)から46万6000人も増えて、過去最高だという。さらに、糖尿病を発症する危険性が高い“糖尿病予備軍”は1100万人ともいわれている。

 世界的にも糖尿病人口は爆発的に増え続けている。国際糖尿病連合(IDF)の発表では、2015年現在で糖尿病有病者数は4億1500万人に上る。

 糖尿病性神経症は、網膜症(両目の失明の原因)、腎症(血液透析に至る)とともに糖尿病の“三大合併症”のひとつだ。糖尿病が進行すると、数年から十数年で発症する。血糖管理が悪いと、自覚症状がなくても徐々に進む。

 感覚神経や運動神経の障害が起こり、手足の痛い、熱いという感覚が失われる。そのためケガやヤケドに気付かず、悪化させて潰瘍や壊疽(えそ)に進行させてしまうのだ。糖尿病は感染症にかかりやすい(易感染性)ため、壊疽から細菌感染が生じて、命に関わる事態に至ることがある。

 典型的には、両足の先端部の頑固なしびれ感、痛み、感覚消失(痛みや熱さを感じない)といった知覚の異常が認められる(糖尿病性多発神経障害と称され、左右対称性にお替われることが特徴)。症状は手よりも足に出現しやすい。

 振動覚(触れているものの振動を感じる感覚)が低下し、アキレス腱反射が消失する。動眼神経、外転神経、顔面神経といった脳神経がおかされると、眼が動かない、顔がゆがむといった症状につながる。

 自律神経がおかされることも多く、次のような自律神経障害による症状がみられる。起立性低血圧(急に立ち上がるとふらつく)、胃もたれ、便秘・下痢、排尿困難(尿が出ない・漏れる)、勃起障害(ED)、発汗調節障害(汗が出ない)、瞳孔調節障害(まぶしい、急に暗いところに入るとみにくい)など。

 これら症状は、患者のQOL(生活の質)を著しく低下させる。

 今回紹介する症例は、下肢の温痛覚の消失がやけどの直接の原因となった。糖尿病に伴う動脈硬化の結果、足への血流が悪い状態ことと易感染性が病態にさらに拍車をかけた。

堤寛(つつみ・ゆたか)

藤田保健衛生大学医学部第一病理学教授。慶應義塾大学医学部卒、同大学大学院(病理系)修了。東海大学医学部に21年間在籍し、2001年から現職。「患者さんに顔のみえる病理医」をモットーに、病理の立場から積極的に情報を発信。患者会NPO法人ぴあサポートわかば会とともに、がん患者の自立を支援。趣味はオーボエ演奏、日本病理医フィルハーモニー(JPP)団長。著書に『病理医があかす タチのいいがん』(双葉社)、『病院でもらう病気で死ぬな』(角川新書)、『父たちの大東亜戦争』(幻冬舎ルネッサンス)、『完全病理学各論(全12巻)』(学際企画)など。

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