シリーズ「これが病気の正体!」第5回

【閲覧注意】タバコで肺が“まっ黒なボロ雑巾”に~これが「肺気腫」の正体!

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肺気腫(画像はモザイク加工のもの)

 5月31日は世界保健機関(WHO)が定めた「世界禁煙デー」。喫煙による健康被害を啓発して禁煙を促すことが目的だ。

 日本では1992(平成4)年から、5月31日~6月6日が禁煙週間とのこと。だが、なかなか禁煙に踏み切れない、継続しない人は多い。そこで近年、患者数が増加している“タバコ病”の怖さを知ってもらうことで、禁煙のきっかけのひとつとなれば幸いだ。

 この“タバコ病”とは「肺気腫」である。初期症状は慢性的な咳や痰、すこし動いただけで息切れがするなどだ。進行すると、息を吸えるのに吐き出せない状態になる。

 肺の中の、多くの壁で仕切られた個々の部屋を「肺胞」と呼ぶ。それらの壁が破壊されて肺胞同士が融合し、部屋の数が減少してしまうのが「肺気腫」である。

 組織学的には下記のように分けられる。

▶︎呼吸細気管支の破壊が目立ち、周辺の肺胞が保たれる状態の「小葉中心性肺気腫」
▶︎変化が小葉全体に及ぶ状態の「汎小葉性肺気腫」(=今回の患者例)
▶︎肺胞破壊が強く、呼吸細気管支が保たれる状態の「傍隔壁型肺気腫」

 肺気腫では、肺胞/呼吸細気管の壁が破壊されるに伴って気腔の異常拡張が示され、ブラ(bulla:風船状に膨らんだ組織)を形成する。症状や原因は慢性気管支炎との類似点が多く、双方が伴う例もあることから、両者を含めて「慢性閉塞性肺疾患(COPD:シィーオーピーディー)」とも呼ばれる。

 原因として一番重要なのは、何と言っても喫煙である。肺気腫患者の多くは重喫煙者である。

 職業性の肺気腫は炭坑夫や石切り人にみられ、石の成分(ケイ酸結晶)を大量に長期間吸い込むことによる「じん肺症」に伴って肺気腫が発生する。じん肺症の場合、肺気腫に加えて、じん肺結節という黒く硬いしこりが、肺実質や肺門リンパ節に多数できる。というわけで、肺気腫は男性に多い。

 肺胞が破壊されると肺の弾性力が低下し、伸びきった風船状となるため、息を吐き出しづらくなる。症状の特徴は、体動時の呼吸困難/(太鼓の撥のように腫れる)ばち指/口すぼめ呼吸/(吐き出せない空気で膨張する)ビール樽胸郭などである。慢性気管支炎に比べて、咳や痰は少ない。

 呼気の際にチェックバルブ現象(呼気閉塞現象)が生じるため、患者はゆっくりと呼気せざるを得ない。臨床症状は病変が全肺の3分の1におよぶと生じる。胸部エックス線の写真上、肺の透過性が亢進し、心臓は小さく垂れ下がったようにみえる「滴状心」を呈する。

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