連載「Universal Jintai Japan(UJJ)=人体迷宮の旅」第2回

【閲覧注意】巨人症骨格、穿頭頭蓋、あらゆる民族の頭蓋骨。ドラマ『BONES』も吹き飛ぶ驚異のコレクション! 「ムター・ミュージアム②」

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世界22ヶ国から集められた139個の頭蓋骨コレクション

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顔の内側を知ることができる頭部のスライス

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左)標準体、巨人症、小人症の骨格、右)上半身が結合した双子の骨格

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穿頭術が行なわれたさまざまな時代の頭蓋骨コレクション

 そして、大きな壁面を覆う展示キャビネットの中央を占拠しているのが、1874年にヨーゼフ・ヒルトル博士から寄贈された、世界22ヶ国から集められた139個の頭蓋骨コレクションである。この多数の頭蓋骨がずらりと並ぶ様子は、ムター・ミュージアムを象徴するイメージとして流布している。

 19世紀に頭蓋骨といえば、いまでは疑似科学として排除されている骨相学がもてはやされていた。

 これは、頭蓋骨の形状が人間の知能や性格に影響しているという考えで、フランツ・ヨーゼフ・ガル(Franz Joseph Gall)が広め、医学界では賛否がありながらも一部の支持を得て、世間的には流行した。実際、脳外科手術が可能になる以前、脳の内部を調べることは難しく、脳の入れものである頭蓋骨を研究することそのものが、脳の研究であったともいえる。

 ところが、骨相学はのちに優生学と結びつき、ナチスのユダヤ人迫害にも利用されたといわれ、学問としても大きく批難される対象となっている。

 ちなみにヒルトルは、骨相学を否定するために、世界の頭蓋骨を収集し、形態人類学という考えを推進していた。現在、民族による頭蓋骨の形状の違いは、それぞれの地域における気候や食べ物の違いから生じる遺伝的な相違と環境による差と考えられている。

 また、これらの頭蓋骨コレクションは、ヨーロッパを中心としながら、江戸時代の日本人なども含まれ、東欧地域やジプシーも網羅していることが貴重である。コレクションには、頭蓋骨の持ち主についての情報も添えられているが、戦死者、犯罪者、娼婦なども含まれており、当時の世界情勢で各地の頭蓋骨を収集するのに苦労していたことがわかる。

穿頭術(トレパネーション)やロボトミーも

 もうひとつの頭蓋骨コレクションに、穴が開けられた多数の穿頭頭蓋がある。これは、アントニオ・ムニッツ(Antonio Muniz)によって収集された、マヤやアステカの遺跡から発掘されたもので、切って四角い穴を開けるカッティング、削り取って穴を穿つスクレイピングなど、いろいろな手法による穿頭頭蓋が展示されている。

 このような頭蓋骨に穴を開ける行為は、穿頭術(トレパネーション)と呼ばれ、数千年前の旧石器時代からも穿頭頭蓋が発見されていることから、人類最古の外科手術といわれている。このような行為は、現代では医療の現場で治療目的で行われているが、一方で、意識の覚醒が起こると主張して、実践している人たちも存在する。

 ムター・ミュージアムのドキュメンタリー『THE MUTTER MUSEUM: STRANGE MEDICAL MYSTERIES』には、1970年にセルフ・トレパネーションを実践したアマンダ・フィールディング(Amanda Fielding)が紹介されている。日本では、漫画家・山本英夫の『ホムンクルス』で広く知られているが、トレパネーションによって、意識が覚醒するのかは科学的に立証できるものではなく、医学界では否定されている。

 それでも、穿頭術はギリシア時代からその記述が残るものであり、ミュージアムには、西洋医学の医療器具として古い穿頭用の手動ドリルも展示されている。
 
 さらに、ミュージアムの人気アイテムのひとつとして、現在では禁止されている前頭葉切除手術ロボトミーの手術道具がある。ロボトミーとは、精神病を脳外科手術で治療しようというもので、1949年、エガス・モニスがノーベル賞を受賞したことからもてはやされ、手軽な術法を開発したウォルター・フリーマンが全米に広めた。その後、人為的な前頭葉の破壊によって、人間性が失われるなどの重度な後遺症が多数報告され、大きな社会問題となり、禁止されるに至ったものである。

 まさに脳に関する医学史の闇を覗き見するような恐怖に身震いせずにはおれないのだ。

[基本情報]
ムター・ミュージアム『MÜTTER MUSEUM』
The Colledge of Physicians of Philadelphia
19 S 22nd Street Philadelphia, PA 19103
TEL 215.560.8564
http://muttermuseum.org/
★年中無休(感謝祭、12月24日&25日、1月1日以外)
10:00〜17:00、大人 $16(は大人同伴 詳細はHPで)
http://muttermuseum.org/visit/hours-admission/


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