手術後やリハビリ後に後遺症を訴えるケースも
ラグビー、柔道、アメフトなどのコンタクトスポーツやバイク・自転車事故、作業中の転落・転倒などで肩の外側を打ち、靱帯や筋肉が強い衝撃を受けると、肩鎖関節が正常の位置から逸脱してずれる、それが肩鎖関節脱臼だ。肩鎖関節脱臼が起きると、肩甲骨と鎖骨周辺の構成バランスが崩れる。関節のずれる程度や方向によって捻挫、亜脱臼、脱臼に分類される。
捻挫や亜脱臼ならば、患部の固定などで治るが、五郎丸選手が負った肩鎖関節脱臼は、三角筋と僧帽筋が鎖骨の先端からはずれ、肩甲骨と鎖骨をつないでいる肩鎖靱帯や烏口鎖骨靱帯も断裂したため、靭帯の修復手術が行われた。
鎖骨の先端が後ろにずれる後方脱臼なのか、鎖骨の先端が下にずれる稀な下方脱臼なのか、三角筋と僧帽筋が鎖骨の外側1/3より完全に外れる高度脱臼かは分からない。
いずれにしても、肩鎖関節脱臼すると、肩鎖関節の安静時の痛み、押した時の痛み、運動時の激しい痛みと腫れを生じる。鎖骨の外側の先端が皮膚を持ち上げて階段状に飛び出して見える。飛び出した鎖骨の先端を上から押すとピアノの鍵盤のように上下に動くらしい。想像しただけで痛そうだ!
肩鎖関節脱臼の強い衝撃は全身を貫くため、骨格の歪みや筋肉の固さにつながる。その結果、手術後やリハビリ後に鈍痛や肩の可動域制限などの後遺症を訴えるケースが少なくない。後遺症を抱えると、精神的ダメージも大きいことから、後遺症のセルフケアが大切になる。
だが、肩鎖関節脱臼の後遺症は、全身状態を改善すれば、快方に向かいやすい。五郎丸選手の未来は洋々と輝いている。持ち前のタフネスも勇ましい。治療とリハビリに専念し、1日も早くフィールドに復帰して欲しい。
(文=編集部)