シリーズ「子どもには絶対に使ってはいけない生活用品」34回

芳香剤・柔軟剤・制汗剤などの「香害」! 北米で広がる「香料」の使用規制

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
芳香剤・柔軟剤・制汗剤などの「香害」! 北米で広がる「香料」の使用規制の画像1

芳香剤・柔軟剤・制汗剤などの「香害」で健康被害が(depositphotos.com)

 つい最近、米国人と結婚し米国へ移住した友人の娘さんと10数年ぶりに会いました。その娘さん曰く――。

 「久しぶりに日本に帰ってびっくりしたのは、どこに行っても芳香剤のニオイが強烈にするんです。米国以上ですよ。私が今、住んでいるのはデトロイト市ですが、8年前に市役所の職員に香料の使用を禁止するくらい、芳香剤などの香料使用に市民は敏感になっています。日本で米国以上に香料が充満しているのには、ガッカリしました」

 ミシガン州デトロイト市が香料規制に乗り出したのは、市職員が同僚の使用していた芳香剤で健康被害(呼吸困難)にあったことがきっかけでした。

 2010年に市は、市職員に香料の使用を禁止。翌2011年にはオレゴン州ポートランド市でも、市職員に香料使用の自粛を呼びかけています。また、オクラホマ州タトル市でも、市民に香料含有製品の使用自粛を訴えるなど、全米に芳香剤、柔軟剤、制汗剤などの使用自粛を求める動きが広がっています。

 米国ばかりではなくカナダでも、香料含有製品の使用自粛の動きは活発です。2011年にノヴァスコシア州ハリファックス市は、「職場での香料不使用」を宣言しました。その後も、カナダでは香料不使用の企業・学校・病院が相次いでいます。

 このように北米では、香料の使用自粛の動きが急速に高まっています。

規制のない日本のタクシーで「芳香剤」がブームに?

 では日本はどうでしょう? 米国やカナダでの「香料自粛」の動きが強まるに伴い、香りビジネスを先導するP&G社は、以前にも増して「香料野放しの日本」での販売攻勢を強めているのです。つまり、今の日本は、米国以上に、柔軟剤、消臭スプレー、芳香剤、制汗剤などの「香り付き製品」が身の回りに氾濫しているのです。そして、これらの香り付け製品による健康被害も目立ってきました。

 昨年末、私も芳香剤でひどい目に遭いました。忘年会の帰途、最寄駅から自宅までタクシーで帰ったのですが、芳香剤のニオイが車内に充満し、頭がクラクラ、めまいまでしてきました。家に着くまで10分くらいでしたが、本当に「地獄の車中」でした。妻に言うと、「飲み過ぎじゃないの」と冷たい一言が返ってきましたが、私は芳香剤のせいだと100%確信しています。

 一昨年の夏、日本交通タクシーはP&Gと連携して、車内のニオイの原因となる食べ物や体臭などを消臭する芳香剤「ファブタク」を、エアコンの送風口にセットして、1ヶ月限定で走らせました。日本交通タクシーに問い合わせると、「現在、ファブタクは使っておりません」とのことでしたが、この「ファブタク」が登場してから、タクシーの多くが芳香剤を車内に充満させて走るようになりました。

 ニオイに敏感な人にとって、芳香剤が車内に充満したタクシーは、ガス室に閉じ込められたようなものです。日本交通タクシーによれば、「現在、芳香剤の使用の可否は、運転手さん個人の判断に任せている」とのこと。タクシー会社や運転手の皆様にお願いです。顧客サービスの一環でしょうが、芳香剤の使用はやめてください。

郡司和夫(ぐんじ・かずお)

フリージャーナリスト。1949年、東京都生れ。法政大学卒。食品汚染、環境問題の一線に立ち、雑誌の特集記事を中心に執筆活動を行っている。主な著書に『「赤ちゃん」が危ない』(情報センター出版局)、『食品のカラクリ』(宝島社)、『これを食べてはいけない』(三笠書房)、『生活用品の危険度調べました』(三才ブックス)、『シックハウス症候群』(東洋経済新報社)、『体をこわす添加物から身を守る本』(三笠書房・知的生き方文庫)など多数。

郡司和夫の記事一覧

郡司和夫
バナー1b.jpeg
HIVも予防できる 知っておくべき性感染症の検査と治療&予防法
世界的に増加する性感染症の実態 後編 あおぞらクリニック新橋院内田千秋院長

前編『コロナだけじゃない。世界中で毎年新たに3億7000万人超の性感染症』

毎年世界中で3億7000万人超の感染者があると言われる性感染症。しかも増加の傾向にある。性感染症専門のクリニックとしてその予防、検査、治療に取り組む内田千秋院長にお話を伺った。

nobiletin_amino_plus_bannar_300.jpg
Doctors marche アンダカシー
Doctors marche

あおぞらクリニック新橋院院長。1967年、大阪市…

内田千秋

(医)スターセルアライアンス スタークリニック …

竹島昌栄

ジャーナリスト、一般社団法人日本サプリメント協会…

後藤典子