細菌とムダな便座利用が「痔主」への近道
応用微生物学の専門誌「Joumal of Applied Microbiology」に載ったケープコースト大学(ガーナ)の研究によると、画面タッチ時の指先から「20〜30%のウイルスが容易に移りうる」というのが現実だ。
温水洗浄便座の抜きんでた技術力と普及率で日本が先進国なのは周知のとおりだ。最近も「シャワートイレ」の商標で知られるINAX(LIXIL)社から、Bluetoothと専用アプリMy SATISでリモコン操作が出来、自分の使い心地次第で洗浄位置や水量の強弱を設定できる新機能が発表されたばかり。
そんな清潔王者の日本人でもトイレの「長時間滞在」が悪習慣化すれば、いぼ痔や切れ痔の「痔主」症状はまぬがれない。痔は本来、便秘と下痢の慢性的なくり返しや息みの日常化が10年も続くと見舞われる病。
この日々の積み重ねである悪化要因に、いま「スマホ依存」という便座タイムの延長現象(=習慣化)が加わったのだろう。
痔の原因はいくつかあるが、そのうちのひとつに「肛門周辺の血行が悪化」がある。トイレに長く座ったり、排泄の際に力を入れすぎると、この状態に陥りやすい。
トイレでスマホを使っていると、知らず知らずのうちにトイレの滞在時間を引き延ばす傾向にあるが、これが肛門付近の充血を招き、その結果、痔を誘発してしまうというのである。
その意味では、近年の痔主予備軍の増加傾向は、デジタル機器による「新・生活習慣病」の蔓延とも呼べるだろう。専門医によれば痔の基本的予防策は「便座で5分以上粘らない」「トイレは便意/尿意を催した場合のみとする」と、いたってシンプルな心掛けしかない。
いいかえれば、トイレ内では「画面のタッチ厳禁」、いいや、トイレ内への「スマホ同伴はNG」という自律を今日からでも徹底すべきかもしれない。
さて、ここまで読んで「了解!」と胸中で改心を誓った生真面目派のアナタ、もしかして便座上で読んではいませんか!?
(文=編集部)