観光客殺到の「猫の島」で野良猫200匹に不妊手術! 香川県・男木島で何が起きているのか?

この記事のキーワード : 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
996461-2.jpg

男木島の野良猫は島民を上回る200匹(shutterstock.com)

 讃岐うどんのメッカ香川県。その玄関口、高松港の北々東の沖合約7.5kmに男木島(おぎじま)がある。名物はタコと猫。島民180人足らずの過疎の小島に、人口を上回る200匹もの野良猫が仲睦まじく暮らしているのだが……。

 「男木島に棲むすべての野良猫に不妊手術!」という寝耳に水のニュースが流れたのは5月17日。猫の島で何が起きているのか?

来島者数は島民の30倍もの約5200人に

 やはり真犯人は糞害だった。所構わず糞尿を垂れるわ、畑を踏み荒らすわ、農作物を食い散らすは、漁網を破るわ……。目に余る傍若無人(猫)ぶりに耐えかねて、島民や漁民の堪忍袋の緒が切れた。

 地元の男木地区コミュニティ協議会によると、野良猫が増え始めたのは10数年前から。「猫の島」の噂が噂を呼び、動物写真家・岩合光昭氏が自著で紹介すると、猫見たさの来島者が押し寄せた。アートによる地域活性化をめざす瀬戸内国際芸術祭や定期的な猫の撮影会も開かれ、2014年の来島者数は、島民の30倍もの約5200人に膨れ上がる。

 ところが、観光客が思い思いに餌を与えたため、繁殖がどんどん進み、糞害や環境被害に歯止めが利かなくなった。だが、偏食や過食などのために、やせ細ったり、衰弱している猫も少なくないという。

責任は人間にある! 猫に罪はない!

 今年4月、困り果てた男木地区コミュニティ協議会は、香川県で猫の避妊・去勢活動や里親探し活動を行っているNPO法人「BONにゃん」(長町満里子代表)に相談し、理事会の全員一致で野良猫の繁殖を防ぐための不妊手術を決めたという。

 不妊手術は公益財団法人「どうぶつ基金」(兵庫県芦屋市)が資金を援助し、6月1日から3人の獣医が島を訪れ、ノミ・ダニの駆除や健康診断も行う手はずだ。NPO法人「BONにゃん」も、野良猫の不妊活動を成功させるために募金活動を始めている。

 ちなみに、精巣を摘出するオス猫の「去勢手術」と、卵巣と子宮を摘出するメス猫の「避妊手術」を総称して不妊手術と呼ぶ。

 男木地区コミュニティ協議会の木場健一会長は、「増やした人間に責任があり、猫に罪はないが、猫の命と健康を守りたい」とマスコミの取材に話している。ネット上でも、不妊手術への反響が起きている。「かわいそう」、「人間の身勝手」、「無責任な観光客に責任がある」などの批判派から、「殺処分よりはよい」、「猫の命と健康を守れる」、「募金に協力したい」などの賛同派まで様々だ。

 今や空前の猫ブーム。関西大学の宮本勝浩名誉教授が発表した猫による経済効果「ネコノミクス」の試算は2兆3000億円にもなるとのこと。その一方で、男木島のように「野良猫200匹の不妊手術」の現実もある。人間社会の利害だけを最優先する去勢や避妊。議論は尽きない。
(文=編集部)

子どもが発熱してもあわてない! 薬を減らして免疫力を育てよう
インタビュー「飲むべきか、飲まざるべきか、それが薬の大問題」第1回・とりうみ小児科院長・鳥海佳代子医師

過剰医療を招く一因ともいわれる、わが国の医療機関への「出来高払い制」。国民皆保険制度によって恵まれた医療を享受できる一方、<お薬好き>の国民性も生み出す功罪の両面がある。薬は必要なときに、必要な分だけ――限りある医療資源を有効に使う私たちの賢い選択とは? とりうみ小児科の鳥海佳代子院長に訊く。

日本中毒学会評議員(同学会クリニカルトキシコロジ…

横山隆

理学療法士。日本で数年勤務した後、豪・Curti…

三木貴弘

ジャーナリスト、一般社団法人日本サプリメント協会…

後藤典子