シリーズ「これが病気の“正体”!」第1回

【閲覧注意】これがO157(腸管出血性大腸菌)にかかった大腸! 罹患の19年後にも犠牲者が……

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 1996年7月に起きた「腸管出血性大腸菌(O157)」の集団食中毒で当時罹患した女性(25)が、19年たった昨年10月11日に亡くなったと報じられた。後遺症の腎性高血圧を原因とした脳出血によるものだという。

 当時、学校給食の食中毒で大阪府堺市の児童ら9000人以上が感染。カイワレ大根が原因とされた。この食中毒では、小学女児3人が96年7月~97年2月に死亡しており、亡くなったのは4人目になるという。

 これから気温が上昇し、梅雨に入れば、O157の感染リスクは高まる。今回はO157症例を紹介しながら、この病気の“正体”を解説したい。

鮮血便の6日後に亡くなった児童

 腸管出血性大腸菌O157は、赤痢菌と同じベロ毒素をつくる。この菌は感染力が強く、他の食中毒と違って二次感染を生じる伝染病だ。「All Blood and no stool(=全部が血液で便がない)」と表わされる「鮮血性」の下痢が特徴だ。

 今回、画像紹介するのは女児(当時7歳)のケースだ。集団食中毒が発生した堺市の小学校で給食をとり、彼女は4日目に水様性下痢と腹痛を発症した。むかつきや嘔吐は軽かったが、翌日の便から鮮血がみられ、2日後には便成分がほとんど認められなくなった。

 同時に腹痛がひどくなり、38℃台の発熱に及んで来院。しかし、鮮血便の6日後、頭痛/意識混濁/不穏状態となって、全身けいれんとともに昏睡状態(脳症)に陥って亡くなった。

 掲載したのは、病理解剖のときの大腸の肉眼像(=次頁参照)だ。著しい出血性病変が大腸全体に観察される。

堤寛(つつみ・ゆたか)

藤田保健衛生大学医学部第一病理学教授。慶應義塾大学医学部卒、同大学大学院(病理系)修了。東海大学医学部に21年間在籍し、2001年から現職。「患者さんに顔のみえる病理医」をモットーに、病理の立場から積極的に情報を発信。患者会NPO法人ぴあサポートわかば会とともに、がん患者の自立を支援。趣味はオーボエ演奏、日本病理医フィルハーモニー(JPP)団長。著書に『病理医があかす タチのいいがん』(双葉社)、『病院でもらう病気で死ぬな』(角川新書)、『父たちの大東亜戦争』(幻冬舎ルネッサンス)、『完全病理学各論(全12巻)』(学際企画)など。

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堤寛
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