妊婦は海外渡航に十分な注意が必要shutterstock.com
ついに日本でもジカ熱の感染者が出た。2月25日、厚生労働省はブラジルから帰国した川崎市の10代の男子高校生が、ジカ熱に感染したことを確認したと発表。恐れていた事態が現実のものとなった。
ジカ熱感染者が国内で確認されたのは2014年以来のことで、4例目となるが、昨年以来の中南米に端を発する流行が始まってからは初めてのことだ。
すでにアメリカの疾病対策センター(CDC)は1月29日、アメリカ本土での感染状況について、昨年以降以降、31人の感染が確認されたと発表。またカナダの保健当局も4人の感染者が最近見つかったとしている。これらの感染者はいずれも流行地域への渡航歴があった。
では、流行地域とはどこか? 米国CDC報告の発生地域(2016年2月23日現在)を基にした厚生労働省の発表では以下のとおり。
<中南米・カリブ海地域>
アルバ、バルバドス、ボリビア、ボネール、ブラジル、コロンビア、コスタリカ、キュラソー島、ドミニカ共和国、エクアドル、エルサルバドル、仏領ギアナ、グアドループ、グアテマラ、ガイアナ、ハイチ、ホンジュラス、ジャマイカ、マルティニーク、メキシコ、ニカラグア、パナマ、パラグアイ、プエルトリコ、セント・マーティン島、スリナム、トリニダード・トバゴ、米領バージン諸島、ベネズエラ
<オセアニア太平洋諸島>
米領サモア、マーシャル諸島、サモア、トンガ
<アフリカ>
カーボベルデ
<アジア地域>
タイ
つまり中南米地域が今回の流行地域ということだが、オセアニア、アフリカ、タイでの感染もあることにも注意したい。
国立感染症研究所や世界保健機関(WHO)によると、ジカ熱はジカウイルスが引き起こす感染症で、2~7日の潜伏期間を経て発熱・発疹・筋肉痛などの症状を伴う。症状は7日以内に治り、感染してもおよそ8割の人は発症しない。
だが、妊婦が感染すると怖い。先天的に頭が小さいために脳の発育不全につながる小頭症の新生児が生まれるリスクが高くなる。ジカ熱は、手足の筋力低下に苦しむ神経障害のギラン・バレー症候群にも関連するといわれるので、注意が必要だ。