感染症を媒介する "蚊"を知る! 刺されやすい人と蚊が嫌う人の違いは?

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蚊の怖さは感染症を媒介すること

 寝入りばな、耳元で聞こえる"ブーン"という音――。起床したら蚊に刺された痕だらけ、という夏の思い出はないだろうか。厄介な存在だが、意外とその生態は知られていないことも多い。

 蚊は、双翅目(そうしもく)・長角亜目(ちょうかくあもく)・蚊科に属する昆虫。9500万年前の化石から発見されるほど蚊の歴史は古い。地球上にはおよそ3300種が存在し、日本には130種類ほど生息するといわれている。主な種類には、アカイエカ、ヒトスジシマカ(通称:ヤブカ)、チカイエカなどがある。

 種類によって差はあるが、一度に50~数百個の卵が水際や水面に産みつけられて孵化し、幼虫(ボウフラ)となる。幼虫は微生物や細菌を食べてサナギとなり、約2週間で成虫となる。

 蚊の食事は「血」と考えるのは間違い。実は花の蜜や果汁、樹液などを食し、吸血するのは産卵するメスだけ。血に含まれるタンパク質で、卵巣を発達させるために吸血する。自分の体重と同じ量の血を吸うので、吸血後は動きが鈍くなる。

 吸血の時間帯は種類によって違う。アカイエカやチカイエカは夕方から夜、ヒトスジシマカは昼から夕方にかけて活動する。

 繁殖のためとはいえ、人にとっては迷惑な蚊。刺された後の痒みは我慢ならないし、そもそも血を吸われているのになぜ気づけないのか。

 それは、蚊が吸血時に唾液を注入するからだ。蚊の唾液には、皮膚感覚を麻痺させるだけでなく、自身の体内に取り入れる血が固まらないようにする効果がある。この唾液こそが、痒みの原因だ。人によっては「蚊アレルギー」として死に至るケースもある。

 そして、最も脅威となるのは、感染症の媒介を行うことだ。日本脳炎やマラリアなどは蚊によって感染、拡大する。今年も警戒すべき「デング熱」も、ネッタイシマカ、ヒトスジシマカという蚊が媒介する。

 デング熱は、発症すると高熱や関節痛、頭痛や発疹などが表れる。1週間ほどで回復するが、なかには、胸水や腹水が溜まりショック症状を起こす「デング出血熱」に移行することもある。デング出血熱は、適正な治療が行われなければ死亡する可能性もある危険な感染症だ。

蚊の"好み"を知ることで吸血を防ぐ

 さて、メスの蚊はどうやって"獲物"を見つけるのだろうか。彼女らの好みには、いくつかの条件が存在する。

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