減量手術に新事実 35歳未満は効果がなく、高齢で受けた方が延命効果がある!

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薬物療法より減量手術が糖尿病の治療に有効

 この手の研究はいつも歯切れが悪い。一体どっちなんだ! 何が分かったの? 案の定、「この研究は、減量手術と延命に因果関係があることを証明したものではない」としている。それでは単なる統計データではないのか?

 一方、2型糖尿病患者を対象に行った別の研究では、対象者を(1)胃バイパス手術群(2)胆膵路転換手術群(3)標準的な薬物療法群の3群にランダムに割り付けて臨床転帰を5年間追跡している。
 
 その結果、BMIが35以上の高度肥満の2型糖尿病患者60人を対象に、薬物療法と減量手術の血糖コントロール改善効果を無作為化試験で比較した結果、2年後の糖尿病寛解率は薬物療法群が0%だったのに対し、胃バイパス術群では75%、胆膵路転換手術群で95%とする結果が出ている。

 この研究は以前にも紹介している。『2型糖尿病の長期管理は治療薬よりも「減量手術」の方が有効!』
Mingrone G et al.Bariatric Surgery versus Conventional Medical Therapy for Type 2 Diabetes.March 26, 2012 (10.1056/NEJMoa1200111).

 つまり、糖尿病の治療法としては、薬物療法より減量手術が大きな効果を上げているというものだ。

 減量手術の効果や是非をめぐっては賛否両論がひしめき合う。今回の研究は年齢別、性差別の生存率をはじき出し、二つ目の研究は糖尿病の治癒率の観点から見ている。

 もともと減量手術は、肥満によって起こりうる病気を防ぐための治療として選択される。その手法とは、一度に食べられる量を減らす手術か吸収される量を減らす手術、あるいはその両方だ。よく知られるのはルーワイ胃バイパス術、このほかにもスリーブ・バイパス術、調節性胃バンディング術、胆膵路変更術・十二指腸バイパス術などもある。

 デメリットとしてよく言われるのは、胃切除手術を受けた人の15~30%にみられる胃切除後症候群、いわゆるダンピング症候群がある。手術後早期には、冷や汗、動悸、めまい、しびれ、だるさなどの全身症状、腹痛、下痢、吐き気、嘔吐、腹部膨満などの腹部症状などが現れる。術後時間が経過してからは、頭痛、倦怠感、発汗、めまい、頻脈、過呼吸などが起きる。

 また、手術を受けると、将来的に胃カメラによる胃の検査や内視鏡による膵臓の検査ができない場合があることや、肝臓から胆汁が流れる総胆管に石などができることもある。

 肥満を解消したいのか、糖尿病を治療したいのか、単に長生きしたいのか。視点がずれればその期待するところも変わってくる。リスクとベネフィットに関する判断が求められる医療だ。
(文=編集部)

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